全米オープンで順調に単複とも勝ち上がっていたかに思えた杉山愛が、どちらも昨日姿を消してしまいました。得意のハードコートだっただけに期待していたのですが、まさか雨に泣かされるとは思いもよりませんでした。

　この大会、とにかく珍しく雨続きで日程消化が進みませんでした。大会運営側は「シングルス最優先」と言って、テレビ放映を念頭に人気のある選手のスケジュールを優先的に消化していきました。その割を食ったのが杉山です。

　シングルス4回戦ではせっかくリードしていたにも関わらず、雨による中断を繰り返し4日間にわたる試合になってしまいました。リードして流れを掴んでは中断で水を差され続け、結局最後は集中を途切れさせての逆転負け。

　もっとも、シングルスに関しては相手も同じ条件ですから、運が悪かったものの文句は言えません。やり切れないのはダブルスです。クリスターズとのペアで全仏、ウィンブルドンに続くグランドスラム３連覇を狙って順調にスタートしたにも関わらず、シングルスの人気選手最優先という方針で、クリスターズがシングルスに出ているため、杉山組は全く試合に入れませんでした。

　結局1試合プレイしただけで、大会は残り3日。決勝まで戦うとしたら3日で5試合をこなす強行スケジュールになってしまいました。こうなるとダブルスだけならまだしも、シングルスも第1シードで優勝を狙うクリスターズとしては、両方こなしている余裕はありません。杉山もクリスターズの事情を了承して、第1シードペアでありながら2回戦で棄権せざるを得ませんでした。

　杉山にしてみればウィリアムズ姉妹も欠場している今大会のダブルスは十分優勝を狙えるという勝算があったでしょうから、それが故障した訳でもないのに、2回戦で棄権というのは相当に悔しいと思います。ただそれもシングルスのトップ選手とペアを組んでいるが故の宿命ですから誰も責めることはできないのですが。

　日本のファンにしてみれば、つくづく恨めしい雨ですが、次の期待はすでに来年1月の全豪オープン。杉山はダブルスでの生涯グランドスラムがかかっていますから、この悔しさをバネにぜひ偉業を達成してもらいたいものです。僕も現地に飛んで応援したいと考えています。

　ところでこの土日は岐阜のひるがの高原で恒例のテニス大会に参加してきます。その顛末はまた明後日に。