久しぶりのＭっちゃんの近況です。今年に入ってから、すっかり「ビョーキ」ぶりが陰を潜めてしまって、話を聞いても全然面白い話題がないＭっちゃん。合コンも出会いサイトでナンパすることも最近は全然だそうで、レギュラーの女性陣たちと細々とルーティンワークを重ねているだけとは聞いていましたが、いよいよそのレギュラー陣すらあまり会わなくなってきたらしいのです。もはや末期的症状です。

　もちろん、新人発掘への努力も全くしていないので、かつては日に何十通と送っていた女性たちへのメールも今では数通あるかないか。会うことも滅多にないので、お陰で今は毎日暇で時間が余ってしまうので、テレビばかり見ているそうです。本当なら仕事にもあまり出かけなくてもいいらしいのですが、「いざ鎌倉」に備えてとりあえず理由をつけては家から出てくるようにはしているとのこと。ただ、その「いざ鎌倉」が本当にこの先あるのかどうかすら怪しい状況のようです。

　去年まで「いつまでこんな進歩のないことをやっているのか」なんてボヤキながらも楽しげにナンパにいそしんでいたのに、この変わり様は一体なんなのか。Ｍっちゃんによると「面倒くさい」からだそうですが、ここは一言で片付けるには複雑かつ微妙なところです。

　ある年齢になってくると物事がいろいろ「面倒くさい」と思う心理は僕も理解できます。特に長年変わらずにやっていることは刺激が少ないので余計にやる気を削いでしまいます。とは言え、Ｍっちゃんがナンパを面倒だと思うのは、単に変わり映えがしないから飽きてきて面倒だと言うだけではないと僕は睨んでいます。Ｍっちゃんはそんなにモチベーションの低い男ではありません。「俺ももう枯れちゃったんだよ」という彼の発言を僕は決して額面通りには受け取っていません。

　どういうことかと言うと、女性をナンパして口説き落とすことに、今まで以上に手間がかかって本来の意味で実際に面倒になってきたのです。Ｍっちゃんは長年自分の年齢を30代半ばとかなり若くサバ読んできましたが、さすがにここのところ寄る年波には勝てず、どう見ても40過ぎの髪の薄い冴えない中年という印象です。そうなると当然女性からの評価は下がり、それに連動して成功率も下がってきます。そこをカバーするためには、楽しい会話なりサービスなりお金なり、何らかの努力が今まで以上に必要になってきます。

　この1、2年は衰えた速球の威力をそうやってコントロールと組み立てで誤魔化してきたのに、いよいよそれも限界が近づいてきてボカスカ打たれ始めたのがＭっちゃんの現況だと思います。当然そうなると引退を考えるのは投手もＭっちゃんも一緒。やる気を失い、面倒なことはやめて楽になろうとしているのです。

　さらに言えば、やる気を持続する一番の特効薬は成功体験でしかないのです。ここでＭっちゃんが踏ん張って、中年は中年なりの方法論を新たに発見することができれば、Ｍっちゃんは不死鳥の如く甦るだろうと僕は見ています。なんのかんの言っても「生まれてこのかた硬派と呼ばれたことがない」のを自慢しているような人間です。このまま終わって欲しくはありません。この危機を乗り越えた時のＭっちゃんを見てみたいと願っています。