幹事クリタのコーカイ日誌2003

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8月12日 ● 『チェッカーズ』。

 元チェッカーズのボーカルでタレントの高杢禎彦が『チェッカーズ』という本を出しました。胃ガンから生還した男が綴る半生記ということですが、一番の読みどころは何と言ってもチェッカーズ解散に至るメンバー、特に藤井フミヤとの確執。さすがに買う気にはなれなかったのですが、本屋でパラパラめくっているうちに結局1時間くらいで読破してしまいました。

 チェッカーズが『ギザギザハートの子守唄』でデビューしたのは僕が社会人になった年です。年齢も近く、僕にしてみれば同期生感覚があります。またこの頃カラオケブームがやってきて、カラオケスナックで僕はいつも『涙のリクエスト』や『哀しくてジェラシー』『ジュリアに傷心』『星屑のステージ』などを歌いまくっていました。当時のオジサンたちもチェッカーズは好きで、カラオケスナックで僕が歌うと結構喜んでくれたものです。フミヤの声域も僕にはピッタリでした。

 チェッカーズはデビューしてから最初の2〜3年くらいがピークでした。ツッパリで不良のロック感覚と、オシャレでキュートなポップ感覚がうまく融合していて、それはまさにプロデューサー秋山道男のプロの仕事でした。わかりやすくてしかも新しいアイドルバンド。若い女の子に圧倒的な人気を誇っていたのもわかります。

 しかし、ある時期からチェッカーズはアイドル路線を捨てて、アーティストになろうと模索を始めました。自分たちで書いた楽曲で勝負をしてきたのですが、どれも「ちょっと違うな」という感じで、カラオケで歌っても楽しくないのです。実際にセールスもかなり下がっていきました。

 このあたりの受け手の感覚と、今回高杢が本に書いている送り手側の事情は実によくシンクロします。それまでのアイドル路線を捨てて芸術性に走るチェッカーズに対して、高杢は反発をしていますし、実際売れなくなってメンバーもバラバラになっていくわけですから、この方向転換は結果からすると失敗だったと言えるのでしょう。

 と言っても、あのままアイドル路線を続けることにも限界があることは明らかでした。アーティストとして自分たちのオリジナル色を強めていきたいというフミヤたちの気持ちももっともです。いつまでも操り人形ではいられないでしょう。

 本の中にある「解散してソロになって芸能界で食っていける奴なんかいないんだよ」という高杢の叫びは悲痛です。どんなに売れているバンドだって、突き詰めていくと一人か二人の天才に引っ張られているだけです。天才は解散したって痛くも痒くもない場合が大半ですが、ついてきただけの連中は失業同然。捨てられたら明日からどうしようか、という世界です。

 もちろんグループでいたからこそ売れていたというケースもたくさんあります。しかし、ソロになったらパワーが落ちてしまうことがわかっていても、解散せざるを得ない場合もあるのでしょう。いくら高杢が「チェッカーズを残せば良かった」と悔やんでいても、冷静に見ると、1992年の解散はもはや寿命だったという気がしてなりません。

 ピンクレディーもスピードも再結成してライブを行っています。多分チェッカーズも時期をみて復活コンサートを行う日がくることでしょう。7人全員揃う必要はありません。藤井兄弟と高杢と鶴久政治がいれば問題ないでしょう。今回の本で少し先になってしまったかも知れませんが、基本的に幼なじみの連中だけに、手を結ぶのは決して難しくはないと思います。僕は楽しみにしています。


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