幹事クリタのコーカイ日誌2003

[ 前日翌日最新今月 ]


 
8月4日 ● 携帯電話のない時代。

 土曜日のテニス後、20代半ばのメンバーの女性と話していたのですが、彼女たちは携帯電話を持っていない頃に男性と付き合ったことがないそうです。つまり、男の子が家に電話してきて父親が出て「何の用だ?」なんて邪魔されたことがないということです。せいぜい学校の部活の連絡網で男の子が電話をかけてきたという経験があるくらいだそうですから、あの頃の男女交際の苦労は知らないわけです。

 携帯電話が普及する前は、基本的に恋人同士であれ友達であれ、とにかく女の子の家に電話をするのは難事業でした。僕のように元々愛想が良くて相手の親と結構フランクに話すことが得意なタイプでも、相手がお父さんとなるとちょっとは緊張したものです。ましてや口下手な男の子は、本人が出てくれることを願うばかりだったと思います。

 その上、自分や相手の部屋に専用の電話機があればまだ良かったけど(コードレスホンになるのはかなり時代が下ってからです)、電話機は一家に一台、大抵は居間か玄関という時代には、家族に通話内容丸聞こえなので、ヤバイ話はもちろん、長電話もできません。もちろん深夜に電話をかけることなど御法度でした。

 電話をかける時はあらかじめ何時にかけるからと伝えておいて、女の子は電話機の前に座って待っているというものでした。それでもタイミング悪くそういう時だけお父さんがひょいと取ったりするんですよね。「誰だ?」「どんな用件だ?」「娘はおらん」の三点セットをかまされた若者がどれほどいたことでしょう。

 黒電話が家庭に一台だった時代(その前は一家に一台すらなくて、近所の家で呼び出してもらっていたという時代がありました)から、親子電話の時代になり、コードレスホンになり、そして携帯電話を学生が持つようになって、今や親は子どもの男女交際どころか交友関係すら把握できなくなりました。ましてやメールが普及してからは、もうやりたい放題でしょう。いや、子どもだけじゃなくて、お父さんもお母さんも家族に知られることなく連絡が取れるのですから、不倫にも便利な時代になったものです。

 もし何らかの事情によって(電磁波が危険だとか)携帯電話が全面禁止になって、誰もが家庭の固定電話しか使えなくなったらパニックを起こす若者が続出することでしょう。その代わり、マナーを守って敬語を駆使してきちんとした電話をかけられるようになるかも知れませんけどね。


とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。