幹事クリタのコーカイ日誌2003

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7月25日 ● 求む!スーパードクター。

 ドラマ『Dr.コトー診療所』を見ていて思ったのですが、実際ドラマやマンガに出てくるようなあらゆる病気や怪我を治療できてしまうスーパードクターはどれくらいいるんでしょう?僕の想像ですが、多分「あれはマンガだから」とほとんどのお医者さんが言うような気がします。

 医者はそれぞれに専門分野をもっていて、それ以外の分野は大学の時に習っただけ、国家試験が終わってしまったら、その知識も忘れてしまったよ、ということのようです。僕の友人の医者もそう言っていまいた。もちろんそれは無理もないことで、自分の専門のことですら勉強をしていないとどんどん最先端から置いていかれてしまうのですから、単に惰性で医療に従事している、もっとひどくなると単にお金を儲けるだけに腐心しているような医者に多くを期待できるはずがありません。

 もちろん、これは医者だけに限った話ではありません。どんな世界だって、プロである以上は常に研鑽が必要です。しかし、実際に業務をこなしながら、なおかつ自ら勉強もしなければならないとなると、できることは限られてきます。自ずと専門分野以外のことに疎くなるのは仕方ありません。

 しかし皆が皆「専門バカ」になってしまうと、困るのは素人のお客さんです。そこでスペシャリストだけではなく、ジェネラリストで浅く広くわかる窓口となる人間が必要になってきます。例えば我々広告代理店の場合、クリエーティブとかマーケティングとかプロモーションのように内勤部門はそれぞれの分野の専門家ですが、それを束ねてお客さんの相手をするのはジェネラリストの営業の人間です。営業がきちんとクライアントの悩みを把握して、それを解決するための方策を立てることができれば、組織はきちんと機能することができます。どんな会社でも、このシステムの基本はあまり大差ないことでしょう。

 ところが売り上げを上げようと本気で考えていないところでは、このシステムを採用していないことがあります。典型的な例がお役所で、用事があって役所に行っても、一体どこに行けばいいのかわからないことがあります。「たらい回し」にされるというのは、要はジェネラリストがいないから客と専門家を結ぶことができずに起きることなのです。

 評判の悪い大きな総合病院でも同じことがあります。具合が悪いのは患者はもちろんわかります。しかし、だからどの科にかかればいいのかはわかりません。昔なら往診もしてくれるような「かかりつけ」のホームドクターがいて、彼らがジェネラリストの役割を果たしてくれていました。

 『Dr.コトー診療所』を見ていて、マンガだドラマだとわかっていても、あんな医者がいてくれたらと思ってしまうのは、結局今の医療が細分化されてしまい、素人の患者には自分がどこが悪いのかわからなくなってしまったからです。そして、細分化されたことで自分に対して全責任を負ってくれるような安心感のある医者が少なくなったと感じているからです。ま、普通の町医者にしてみたら、そんなこと望まれても困るということになるんでしょうけどね。


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