幹事クリタのコーカイ日誌2003

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7月24日 ● 浮かれ気分の1980年代。

 NHKの衛星放送で、1980年代特集ライブを放送していました。渡辺美里や佐野元春や大沢誉志幸や大江千里やTMネットワークやと、当時流行った歌手を一堂に集めての同窓会ライブです。よく南こうせつが中心になって1970年代のフォーク歌手が集まってライブをやっていますが、あれの1980年代版だと思えば良いでしょう。

 僕にとって青春ど真ん中は1970年代です。1970年、大阪万博の年に小学校4年生、1979年に共通一次試験一期生として大学に入学しましたから、もっとも青春の色濃い中学〜高校時代がすっぽり1970年代に収まってしまいます。

 それに続く1980年代というと20代。大学から就職、結婚、子どもが生まれるまでです。1989年に長男が生まれましたから、まさに人生をどう生きるか、その方向性を決めた10年間が1980年代でした。1970年代に比べるとピュアでせつない思い出は少なくなりますが、波瀾万丈で、もっとも変化に富み楽しく充実していた時代でした。

 テレビを見ながら『SOMEDAY』とか『そして僕は途方に暮れる』なんて歌を聴いていると、当時の気分がまざまざと甦ってきました。あの頃はとにかく浮かれていました。1970年代までのひたすら上を向いて頑張ろう、お金を儲けよう、もっと楽な生活をしようという時代から、日本人は頑張りすぎだ、もっと休もう、遊ぼう、楽しもうという気分に変化したのが1980年代です。

 面白いことが一番の価値、ルンルンして軽薄短小で不思議大好きだった時代です。僕がコピーライターになった1983年、まさに世の中はコピーライターブームで、若者の一番の憧れの職業でした。当時は渦中にあってかえって実感できませんでしたが、僕が大手広告代理店のコピーライターになったのは、1990年代に女子大生がキー局の女子アナに採用されたのと同じくらい凄いこと(ある一部の価値観を持つ人にとっては)だったようです。

 いま思えば本当に幸せな1980年代でした。若者文化が世の中を席巻し、古いモノは捨てられ、新しいことが喜ばれ、景気はどんどん良くなり、真面目であることよりも不真面目であることの方が「エライ」と思われていたのです。僕たちのような気楽でいい加減で気分次第な若者が、時代の最先端と呼ばれていい気になれたのです。

 今と違って先行きに不透明感も閉塞感もなく、ジャパン・アズ・ナンバーワンでしたから、遊んでいてももっと良い時代になるんだと信じていました。週休3日制が間もなく実現し、夏は1ヶ月のバカンスが取れて、それでも給料はバンバン上がるんだと思っていました。

 20代を浮かれて楽しんだお陰で、それに続く1990年代、そして今と、僕たちは「なんか暗い時代だよね」なんて思ってうんざりしていますが、それでもそんな楽しい時代を経験できただけでも良かったのでしょう。まだ20代でしたから、株や不動産に投資をして大儲けしたわけではありませんが、大損もしませんでした。おこぼれをあずかって何となく楽しむことができました。

 僕たちはアリとキリギリスで言えば、アリの10代、キリギリスの20代を過ごしてきました。大いに楽しんだけど、一時の夢で終わってしまったキリギリス時代。1980年代ライブは、キリギリスの頃を思い出し、ちょっと微妙な気分の懐かしさを甦らせてくれました。


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