幹事クリタのコーカイ日誌2003

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7月23日 ● 尿路結石の夜、救急病棟で。

 昨晩はクライアントの人たちと一緒に食事会でした。7時に始まった会もたけなわという8時20分頃。右腰がしくしく痛み始めます。最初は気に留めていなかったのですが、次第に痛みは増してきて話すことさえ辛くなってきました。

 「あ、これは石だな」とすぐにわかりました。尿路結石です。僕は昔から「石持ち」で、すでにこれが4回目。特に11年前は入院して砕石手術までしているくらいですから、症状からすぐにピンときました。

 8時40分。痛みで血の気が引くのが自分でもわかりました。脂汗が流れます。限界だ、と思った僕は「スイマセン、体調不良なので失礼します」とクライアントにお断り。心配してすぐにタクシーを呼んでくれたので、そのまま前回も入院した名古屋第二赤十字病院へ直行しました。

 救急窓口に着いたら9時。震える手でなんとか書類を記入して待合いの椅子で呼ばれるのを待ちます。いつもなら痛みがあっても小一時間も経てばケロッと直ることが多いのに、待っている間にますます痛みはひどくなります。目を開けていることもできません。

 そんな時、不意に「すいませんでした!」と大きな声が待合い室に響きます。辛うじて目をやると、ドレッドにヒゲ、青いタンクトップにぶかぶかのショートパンツを履いたヒップホップなお兄ちゃんが、年配のご夫婦に深々と頭を下げて謝っています。どうやら話を聞いていると、このヒップホップが左折時にバイクをひっかけて倒し、バイクを運転していた年配夫婦の息子が転倒、鼻から血を流して意識不明でこの病院に担ぎ込まれたということらしいです。

 ただ謝られても息子は治療中で顔を見ることもできないご夫婦は実感すらない模様。命に別条は無さそうですが、後遺症も含めて今後どうなるかは予断を許さない状況のようです。そのあたりまで認識できた時点で、また僕の痛みはひどくなり目を閉じて耐えます。長い時間が流れます。ふとまた気配に気づいて目を上げると、右斜め前に天使が。いや、ヨーロッパの宗教画に登場するような天使のような愛らしい赤ちゃんが僕をじっと見ています。お母さんも赤ちゃんも完璧な白人。綺麗な金髪に抜けるような白い肌。どこが悪いのかわかりませんが、今は元気にニコニコしている赤ちゃんの顔を見て、一瞬楽になりました。一瞬だけでしたが。

 待合室の椅子で息も絶え絶えに待つこと55分。ようやく呼ばれて診察室へ。ただならぬ様子の僕を見て、医者も症状を聞いたらすぐに処置を始めました。10時10分、採血、点滴、エコー、血圧、レントゲン、検尿と次々と検査をしていきます。「わかりやすい典型的な尿路結石ですね」だって。そりゃそうだろう、なにせこちとら尿路結石のベテランだ、なんて啖呵を切る元気もなく担架で運ばれてあちらこちら移動する僕。なかなか痛みは収まりません。もしかして大きな石だったらどうしよう、前回みたいにこのまま入院なんて言われたら困るなぁ、仕事はともかく週末はテニスの大会があるし、なんて痛みをこらえながらいろいろ心配していました。

 11時15分。ようやく全ての検査が終わって一息ついたところで痛み止めが効いてきたようです。それまで3時間にわたって苦しんできた痛みがスーッと収まっていきます。12時。点滴終了。かなり楽になり看護師さんとも話ができるようになりました。その時、何やら騒がしい声が処置室に響きます。興奮した若い男たちの声。どうやら集団でケンカした連中が怪我をして運び込まれてきた模様。しかし、処置室でまだ騒ぐなど言語道断の連中です。元気になった僕は叱りつけたい衝動を抑えて様子を窺っていたのですが、医者も看護師も注意をしません。ベテランナースが彼らをなだめてようやく待合室に引き下がってきました。

 僕も一緒に待合室に出ると、警察官が4、5人、救急隊員が5、6人。かなり物騒な雰囲気で、こりゃケンカして大騒ぎしたな、ということがわかります。待合室でまだ何やら騒いでいる連中は見たところ15、16才。声もまだまだガキっぽくて、警察官に何か聞かれた時に「なんで家の電話なんて書くんだよぉ、家に電話するなよ、携帯でいいじゃん、俺の携帯に電話してくれよ、頼むから家にかけんじゃないよぉ」なんて言っています。情けない連中です。そう言われたって未成年のケンカでこれだけの騒ぎになれば親にも学校にも連絡が行くに決まっているのに。

 騒いでいる連中の横で、交通事故を起こしたヒップホップがまだご両親に何か説明しています。見た目はガキどもとあまり変わらないけど、ヒップホップは良い奴のようです。「学生さん?」とお父さんに聞かれて「いえ、働いています」と答えていました。不注意で人身事故を起こしたことを心から反省している様子です。それに比べて病院の待合室で騒いでいるガキどもは、全員とっとと留置してしまえば良いのに、と思って僕は見ていました。どうも警察官も甘い対応しかしていません。本当なら僕が頭をひっぱたいてやりたいくらいです。

 12時30分、ようやく会計と薬が終わりました。何となくまだ腰が痛むのは仕方ないでしょう。石がなくなった訳ではないのですから、これから水分を多くとって石を排出しなければなりません。レントゲンに写った石の大きさは約3ミリ。11年前に入院したときは18ミリでしたから、それに比べれば大したことはありません。でも痛いけど。かなり。その時のために座薬も貰ったけど、座薬って入れにくいんだよねぇ。早く石を出さなきゃ。

 病院から外に出るとパトカーが4台。交通事故とガキのケンカにお巡りさんも大忙しの夜でした。


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