キリンビバレッジの「午後の紅茶」のＣＭ。松浦亜弥が歌をシャウトしながら、テーブルの上のグラスに午後の紅茶を注いで飲み、最後に一言。結構流れているので、見た人も多いと思います。

　このＣＭを見て「サミー・デイビス・Jrだ！」と思う人は、きっと40代以上に間違いないと思います。1973年、サントリー・ホワイトのＣＭでサミー・デイビス・Jrがグラスにオンザロックを作りながら歌い踊り、最後に「ンー、ダイナマイト！サントリー！」と言う大ヒットＣＭがありました。

　今回の松浦亜弥のＣＭは、この大昔のサントリーのＣＭにそっくりの作りです。盗作ではないでしょう。制作者はきっと知っていてその本歌取りをしているのだと思います。それほどサントリーのＣＭは有名ですし、それほど午後の紅茶のＣＭはそっくりだからです。もし知らずに作ったとしたら、とんでもないことです。生茶で松嶋菜々子が滑り台から少年にドロップキックを喰らわしたことよりずっと問題でしょう（あれもキリンビバレッジか）。

　それにしてもパロディしたのがサントリーではなく、ライバルであるキリンビバレッジだというのが驚きです。サントリーなら、アンクルトリスを復活させたりしているので、かつての遺産を生かしたということも考えられますが、キリンビバレッジがやったとなると、これはやはり宣戦布告なのでしょうか？まさか競合相手に対して「こういうＣＭをやりますが良いですか？」と許可をとったりもしないでしょうし、なかなかクライアントも広告代理店も勇気がある決断だったと思います。

　もっとも、午後の紅茶のターゲットである若年層は、サミー・デイビス・Jrなんて全く知らないでしょうから、単に「あやや可愛い！」と思うかどうかだけですけどね。