幹事クリタのコーカイ日誌2003

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5月1日 ● 美しき五月。

 先日内舘牧子が週刊誌のエッセイで良い言葉を書いていました。彼女が色紙にサインを頼まれた時に書いていた言葉だそうで、「二月の雪 三月の風 四月の雨が 美しき五月を作る」というものです。

 季節の特徴をうまく捉えながら、そのまま人生の機微の喩えになっている良い言葉です。特に今年のように四月に雨がこれだけ降ると、余計に「美しき五月」の訪れを期待してしまいます。幸いGWの天気はずっと穏やかな晴天が続くようで、日本列島で一番美しく爽やかな季節を堪能できそうです。

 ただ、この内舘牧子のエッセイには続きがあり、この美しい言葉を理解できない人がいるというのです。それもほんの一握りの人ではなく、「十人中六人」までもが読んでどういう意味か理解できずに、トンチンカンな感想を言うのだとか。

 そこまで日本人の国語読解力は落ちているのか、という思いと、もしかしたらそうかもな、という思いが交錯します。最近どうも言葉を言葉通りにしか取れない人が多いのです。言葉には「含み」というものがあります。「行間を読む」という言い方もあるように、言葉になっていない言葉を読み取ることは日本人の得意技だったはずなのに、いつの間にか噛んで含めるように説明しないとわからない人が増えてしまいました。

 日常生活だけではありません。仕事でもこれは大きく影響していて、20年前の広告コピーは、もっと奥行きがありました。最近のコピーはストレートで、含みがありません。それは受け手側が理解できないということもありますが、多分送り手側にもそれだけの力量がないのではないかと思っています。

 高校生の頃、小林秀雄の文章を読んで、その飛躍の多さについていくのが大変だった思い出があります。今の高校生は滅多に小林秀雄なんて読まないかも知れませんが、読んだら「なんだ、この悪文は。意味が通じないぞ」なんて思うのかも。映像や音楽に対する理解力の向上と引き替えに、日本語の理解力が落ちているのだと考えても、やはり寂しい気持ちがします。


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