なんだかいきなり春っぽく暖かくなってきました。我が家のそばの大学の桜が急につぼみが膨らんできていて、この調子なら数日のうちには花が開きそうな感じです。今年はずっと寒いなぁ、と思っていたのに、開花は平年並みに帳尻合わせ（？）しそうな気配がします。

　この大学の桜はなかなか枝振りも見事で、満開時には青空に綺麗な淡いピンクの花が実によく映えます。毎年通勤の途中にこの桜を見上げては「ほー」とするのが春の恒例です。そして毎年「これでこの桜を何回見たかなぁ」と数えてしまいます。

　結婚して今のマンションに住み始めたのが1986年の秋。はじめてその桜を見たのは1987年ということになりますから、今年でその桜を見上げるのは17回目です。3回目だとか5回目だとか思っていた頃はまだまだ自分も未来を見つめているばかりでしたが、17回目となるとついつい過去を振り返ってしまいます。

　4回目の桜の時に温泉旅行に行ったとか、8回目の桜の時に娘がまだベビーカーに乗っていたとか。そして過去を振り返ると同時に「あと何回この桜を見ることができるんだろう」とも考えてしまいます。まるで死期の迫った老人のような感慨ですが、桜というのはそういう気持ちを起こさせる魔力のようなものも持っています。

　若い頃は桜なんて毎年咲くんだから、そう浮かれているんじゃないよ、どうせ酒飲んで騒ぎたいだけでしょ、なんて花見したがる人のことを思っていました。でもこの頃は桜を見に行く人の気持ちが理解できます。今年も山崎川のライトアップされた桜の下をそぞろ歩きながら、来し方行く末に思いを馳せようと思っています。