昨晩は会社を定年で去る2人の大先輩の送別会がありました。その1人のＹ下さんは入社以来42年、我々の部署一筋に勤め上げてきた人。超個性的なファッション、目立ちたがりで出しゃばりでおしゃべり。テニスだゴルフだスキーだ麻雀だ夜の街だドラゴンズだと遊びが大好きで、とにかく人生を楽しんでいることでは人後に落ちない我が社の名物男で評判の人でした。

　そんなＹ下さんだけに、送別の辞を語る人たちも話が尽きません。いつもの送別会のスピーチなら一人30秒からせいぜい3分程度なのに、この夜は大体一人5分〜10分も話すのです。僕もお世話になった先輩だけに10分近く話をしてしまいましたが、みんながこの調子では当然会も延びてしまい、結局予定を1時間もオーバーしてしまいました。

　もう1人のＨ塚さんがこれまた個性的で味わいのある方で、北海道から名古屋に転勤してきたのが6年前。我々と一緒に席を並べて仕事をされたのはわずか3年だったのですが、なんとこの人はからくり人形の研究者であり制作者として日本でも有数の大家なのです。名古屋に転勤をしてきたのも、からくり人形の本場だから。Ｈ塚さんの研究も名古屋での6年間でますます深まったということです。

　Ｈ塚さんは定年後すぐに函館に戻り、「からくり人形館」を開設するそうです。函館の新しい名物になるかも知れないので、今から要チェックです。僕も函館に行く機会があったら、ぜひ寄ってみたいと思っています。

　定年と言うととかく湿っぽくなりがちですが、明るく次の人生を踏み出そうとしているこういう先輩を見ていると、自分もファイトが湧いてきます。会社だけの人生もイヤですが、それ以上にイヤなのは、仕事を取り上げられたら為すべきこともなくただ漫然と日々を過ごすだけの人生です。

　「楽をする」ことと「楽しむ」ことは、同じ字を使っていても全く違います。楽だけど何もない人生よりも、大変だけど楽しい人生を送りたいと、改めて先輩の卒業式を見ながら感じました。