幹事クリタのコーカイ日誌2002

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12月12日 ● みんな知らないレコード大賞。

 かつて大晦日の夜は7時からレコード大賞を見て9時から紅白、というのが定番でした。日本人の半分以上はそういう視聴行動を取っていたことは、当時の視聴率からも明らかです。特に1970年代の歌謡曲全盛時代、レコード大賞を誰が獲得するのかは国民的関心事でしたし、正月の挨拶代わりの会話にもなっていました。僕は今でも昭和42年(1967年)の『ブルーシャトー』から昭和56年(1981年)『ルビーの指輪』くらいまでは、ずっと歴代大賞受賞曲を諳んじることができます。

 しかし、ヒット曲が多様化し、テレビに出ない歌手の曲がメインストリームになってきた1980年代から、少しずつレコード大賞は世の中とずれてきてしまいました。僕が興味を失ったのは中森明菜が2年連続受賞(1985〜1986年)し、さらにその翌年近藤真彦『愚か者』(1987年)がレコード大賞になったあたりから興味を失ってしまいました。この頃からアイドル路線になって「レコ大も格が落ちたな」と思ったものです。さらに紅白歌合戦が夜7時台からスタートするようになって、いつの間にか誰もレコード大賞獲得曲を知らないし興味もないという時代になってしまいました。

 そんなレコ大株価低迷の中、今年の各部門賞が発表されました。大賞は相変わらず金賞の12曲の中から大晦日に選ばれることになっていますが、その金賞のラインアップを見て驚いてしまいました。半分くらい全く知らない曲なのです。僕がオジサンだから知らないんだろう、という人は以下の曲目を見てからバカにしてください。

 w-inds.『Because of you』、Every Little Thing『キヲク』、川中美幸『貴船の宿』、島谷ひとみ『亜麻色の髪の乙女』、田川寿美『女人高野』、夏川りみ『涙そうそう』、浜崎あゆみ『Voyage』、原田悠里『おんな坂』、氷川きよし『きよしのズンドコ節』、hiro『Eternal Place』、BoA『LISTEN TO MY HEART』、森山良子『さとうきび畑』。

 12曲中すぐにわかるのは5曲、聞いたことがあるのが3曲、全く知らない曲が4曲です。女性演歌は全て知りません。これが今年を代表するヒット曲TOP12だと言われて納得する人は日本中で誰もいないことでしょう。いくらミリオンヒットが1曲だけだったレコードセールス不況の2002年とは言え、これだけ現実と乖離した選択はありません。

 この中から大賞を選ぶと言われても、浜崎あゆみ『Voyage』以外を選んだら、本当に選考委員会の見識を疑います。セールスからしても歌手の知名度からしても全てこの12曲の中ではダントツの1位です。クオリティも高い浜崎あゆみの集大成的な曲ですから、これが大賞なら文句はありませんが、比べて他がヒット曲と言うには低レベル過ぎます。

 強いて言えば『亜麻色の髪の乙女』も印象に残りましたが、これはあくまでもカバー曲としてのヒットですから、今年を代表する大賞には相応しくないでしょう。そもそも平井堅『大きな古時計』が企画賞なら、『亜麻色の髪の乙女』も同じく企画賞で良いと思います。

 浜崎と並んでテレビの歌番組を席巻したモーニング娘。を筆頭とするつんくファミリーは、特別賞にまとめられてしまい、また今年の音楽界の顕著なブームだったラップもアカペラも無視されています。こんなレコード大賞を真面目に見る人などいるはずもありません。

 まあレコード大賞がどれだけ権威を失墜しようが関係ないと言えば関係ないのですが、もはや全く「イヤーソング」を選ぶという機能を果たしていないのであるならば、いっそやめてしまったらどうなの、と思います。誰が喜んでいるのか不思議な賞です。


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