幹事クリタのコーカイ日誌2002

[ 前日翌日最新今月 ]


 
12月5日 ● 三代目で潰れる。

 どんな金持ちも子孫がダメなら三代目には潰れるそうですが、なんだか最近の日本を見ていると、日本という国自体も同じなのかも、という気がしてなりません。この場合、初代は大正生まれから昭和ひとケタまでの世代。戦後の混乱期からがむしゃらに働いて高度成長を実現させた人たち。彼らが戦後の金持ち日本を作りました。

 二代目は団塊世代を筆頭とした昭和20年代から30年代前半生まれ。稼ぐだけだった初代を尻目に、アメリカ文化を輸入して消費する文化を作り上げてきました。現代日本のさまざまなカルチャーの原点は彼らにあると思います。

 そして三代目がいま成人しつつある昭和50年代から60年代生まれの若者たち。コギャルやケータイやメル友やと平成の若者文化を作りリードしている世代です。

 この三世代に通じるのは「金持ちになること=消費することが勝ちであり価値である」という概念です。初代はとにかく豊かになるという一点突破でがむしゃらに働いてきました。彼らに共通しているのは「子どもたちに不自由な思いはさせない」というテーゼです。金を持っていれば大丈夫、というプリミティブな考え方です。

 その次の世代は金を持ったら、アメリカ人のように消費すること、楽しむことこそが正義だと考えた世代です。クルマに乗りロックを聞きマンガを読みスポーツと旅行を楽しみフリーな恋愛を謳歌する。稼ぐだけで使い方を知らない上の世代をバカにし、とにかく自由を求めてやんちゃした世代。彼らに共通しているのは「子どもにもやりたいことをやらせよう」という享楽的なスタイル。そのための経済的援助は惜しまないという姿勢です。

 こんな祖父母世代と父母世代に育てられたのが今の若者だとしたら、これだけ長引く不況を前にして、彼らが苛立ちと閉塞感にとらわれるのも無理からぬ話です。基準となる唯一の価値観が「金持ちになること」なのですから、不況でお金が儲からない、またその可能性も閉ざされた社会を見て、どう生きていっていいのかわかるはずもありません。つまるところ、自らの殻に閉じこもり、ただひたすら好きなことだけをしていくしかないのです。

 もちろん、以上は悲観的かつ皮相的に世代を切って論じているわけで、お金はなくてもきちんと堅実に毅然とした態度で生活をし人生を楽しんでいる人々ももちろんたくさんいます。ただ、世の中の主流となっていた価値観は戦後ずっと「金持ちになろう」ということであり、豊かさの中には経済的な豊かさ以外のものがあるのに、それは切り捨てられて、ひたすら金儲け至上主義の教育が行われてきたのです。

 三世代にわたって植え付けられたこの価値観は簡単には転換できないと思いますが、引き続く不況の中で、もしかしたら新しい価値観の萌芽がそろそろあるのかも知れません。またそうでなくては、たとえ景気が回復してもバブルの時と同じ踊りを日本はまた踊るだけでしょう。もっとも、消費文化を煽り続けるのが商売の僕が言っても実はなんら説得力がないのですが。


とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。


この日記をマイ日記才人に登録する