幹事クリタのコーカイ日誌2002

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11月22日 ● 全日本テニス選手権。

 現在日本テニスの“最高峰”の戦いである全日本テニス選手権が有明で開催されています。もっとも、それを知っているテニスファンがどれだけいるか、とても心許ないですし、いわんやテニスに詳しくない一般の人にはかなりその知名度は低いことでしょう。

 日本のテニストーナメントでも、もっとも伝統のある大会であり、また天皇杯、秩父宮杯を競う大会というのは数あるスポーツ競技の中でもかなり限られた種目だけです。皇室からも「お墨付き」を貰っている日本有数の格のある大会なのに、この注目度の低さは、全日本選手権が現在のプロテニスの中でかなり外れた位置にあるからです。

 世界を統一したシステムの中で動いているプロテニスツアーは、トップ選手ほど決められたスケジュールで動かざるを得なくなります。それは有数のビッグネームが必ずある程度の大会に参加しないと、ツアーが興行として成り立たないからです。そのツアーに属さない全日本選手権のような国内ローカル大会は、外国の有力選手が参加しないというだけではなく、国内トッププロにとってもランキングポイントが稼げないのでパスをして他の世界ツアーに出てしまうということになりがちです。

 したがって、最初に全日本選手権は日本テニスの“最高峰”と書きましたが、大会としての格式は最高でも、内容がそれに伴っているかというと最近は決してそうとは言えませんでした。今の選手から「全日本は世界への登竜門」とか「一度は取りたいタイトル」という言い方をされています。富士山と一緒で、一度頂上まで行っておけばOKで、何回も登る必要はない、という扱いです。

 しかし、「観る」テニスの人気を復活させたいテニス協会としては、全日本選手権の復権は急務でした。そこで今年はかなりドラスティックな改革を行いました。「見て楽しいテニスの創造と、トップ選手が参加しやすい環境の構築」を目的とし、思い切ってランキングの高い選手は3回戦、4回戦からの出場としました。すなわち男女本戦について第9シード〜第16シードは3回戦から、第1〜第8シードは4回戦からプレーする「スーパーシード制」を実施したのです。

 これによって力量のかけ離れた選手同士の一方的な試合が少なくなりますし、世界ツアーを回るトッププロも大会に割くべき時間が短くなるので参加しやすくなります。実際、今年の全日本はかなり有力選手が揃いました。男子では、鈴木貴男、本村剛一、トーマス嶋田(複のみ)のデ杯メンバーをはじめ、スイス育ちの加藤純、故障からの復活を目指す石井弥起ら、昨年優勝の寺地貴弘以外のトップ選手はほとんどが参加しています。

 また女子ではダブルスとミックスだけですが、杉山愛が6年ぶりに全日本に登場。シングルスには小畑沙織、浅越しのぶ、藤原里華、吉田友佳、佐伯美穂、森上亜希子ら、フェド杯代表クラスの強豪がこぞって参戦しています。これだけのメンバーが揃った全日本というのも久しぶりで、まさに「スーパーシード制」の効果があったのだと思われます。

 『テニスの王子様』効果で、「プレイする」スポーツとしてのテニスブームが子どもたちの間では起こっているようですが、後は日本のトッププロが「本当にプロのテニス選手は凄いんだ」ということをこうした国内大会で生で見せ、そして生で応援した選手が、今度はブラウン管を通してグランドスラム大会で活躍すれば、「観る」スポーツとしてのテニスも定着していくと思います。いくら器を作っても、やはり中身が大事ですからね。トッププロの活躍がカギということです。


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