毎週水曜日夜に放送されているドラマ『ＨＲ』。三谷幸喜が脚本・演出しているシチュエーションコメディで、テレビドラマながら観客を入れて舞台のように撮影しています。30分ドラマですが、普通のドラマのようにぶつ切りで撮ってつないでいるわけではないので、いわば毎週三谷幸喜の新作を1本ずつ上演しているようなものです。恐らく作っているスタッフは相当に神経を消耗する仕事になっていることでしょう。

　その分、見ている方には緊張感がびしばし伝わってくるので、かなり刺激的なドラマに仕上がっています。1回目、2回目と見ましたが、脚本はいかにも三谷らしい計算されたコメディですし、演出もかなり舞台的。正直、テレビドラマとしては過剰過ぎる演技で、舞台中継を見ている気分になります。

　俳優陣はみんな三谷幸喜御用達的なキャスティングなので、いかにも達者に演じています。主演の香取慎吾は周りの巻き起こす騒動を受ける狂言回し的な役回りなので、ちょっと受けの演技ですが、上手にドラマの軸になっています。弾けているのが戸田恵子と中村獅童。テレビでは限界と言えるくらいオーバーな演技で相当に目立っています。逆にそれをうまく受けている白井晃や小野武彦らが巧みさを感じさせます。驚くのは篠原涼子と酒井美紀。二人ともテレビ育ちなのに、よく頑張っていると感心します。

　見ている方すら疲れるようなハイテンションで、ずっと10回以上続けるのはかなりきついことでしょうが、それだけ良い作品になりそうな予感がします。テレビ界に「伝説のドラマ」が生まれることになるかも知れません。