幹事クリタのコーカイ日誌2002

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10月11日 ● 普通の人がノーベル賞。

 まさか2日連続でノーベル賞受賞者が出るとは思ってもいませんでしたが、なにより驚いたのはそれがごく普通のサラリーマンだったことです。まるで映画か小説のような出来事で、本人の当惑ぶりはニュースで見ていても気の毒なほどです。

 田中耕一氏のプライベートな情報が、日本中にガンガンと流されています。一夜にして彼のことをみんなが知ってしまいました。富山中部高校から東北大工学部電気工学科を卒業(ただし1年留年)して、島津製作所に勤務。会社では43才なのに主任という下から2番目の役職で、それは昇進試験を受けなかったからで、「出世すると研究の現場から離れなければならないから」というのがその理由。年収は800万〜900万円くらい。研究者としても無名。

 これだけ聞いても、どこにでもいそうな普通の人です。見た目通りの研究一筋の人柄のようで、自らに起こった奇跡にオロオロするばかり。彼を見ていて微笑ましく感じない人はいないでしょうし、自らにだぶらせる人もたくさんいることでしょう。「もし俺が明日ノーベル賞を貰ってしまったら?」なんて、ついつい起こるはずもない妄想をしてしまいます。

 功なり名を遂げた偉い学者先生が貰うものだったノーベル賞を、博士どころか修士ですらない一介のサラリーマンが貰ってしまうというのは、昨日書いた湯川・朝永時代から考えると信じられないことです。ノーベル財団も粋なことをするものだ、と思うべきか、イタズラ心があると思うべきなのか、とにかく一人の男の人生を変えてしまったことだけは確かでしょう。

 76才の小柴先生は、後は穏やかに老後を過ごしていけば良いわけですが、43才の田中さんの今後がどう変わっていくのか、ちょっと現段階では予想もつきません。これを契機に研究者としてさらに実績を挙げることができれば良いですが、逆にノーベル賞受賞者としてのプレッシャーが重過ぎて、妙な方向に人生が狂わないことを願うばかりです。


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