よく「迷走台風」という言葉は聞きますが、今回の台風21号は「暴走台風」でした。つい先日南海上に現れたかと思ったら、昨日のうちに一気に小笠原から伊豆諸島を突っ切って、神奈川に上陸、首都圏を突っ切って東北へと走り抜けていきました。もちろん関東から東海にかけて各地で被害が出てしまったのですが、あまりのスピードに「なんだったんだ？」という感じの方が強いです。

　今回、戦後史上最大級の超大型台風と言われていましたが、台風の大きさよりも時速60kmで南から北へ真っ直ぐ突き抜けていく「突貫小僧」ぶりの方に珍しさを感じました。大抵の台風というのはゆっくり日本に近づきながら「来るぞ来るぞ」という盛り上がりと、途中から進路を変えて「どこに来るんだ」と緊張させるところがあるのですが、あっという間に近づいてきて抜けていってしまうし、コースも変えずに一直線に最短距離で日本にやって来るしで、なんだか調子が狂ってしまうよなぁ、という印象です。

　台風の速度が速いと、風速も強くなるのですが、長時間にわたって雨を降らすということがないので、結果としては被害が少なくなるのではないかと思います。同じところにずっと留まって大雨を降らされるよりは今回はマシだったのでしょう。

　かつては台風に「ジェーン」とか「メリー」とか女性の名前を付けてみたり、その後は「伊勢湾台風」とか「室戸台風」とか地名をつけたりしていましたが、最近は味気ない数字だけですから、こんな珍しい台風には「突貫台風」とか「香車台風」とか名付けてみるのもいいかも知れません。