幹事クリタのコーカイ日誌2002

[ 前日翌日最新今月 ]


 
9月15日 ● 文庫本の価格。

 先日名古屋のパルコブックセンターに行き、文庫本を2冊買いました。宮部みゆきの『理由』(朝日文庫)と和田誠らの『今日も映画日和』(文春文庫)です。両方とも分厚い文庫本で、「読みでがあるなぁ」なんて思いながらレジに出したら「1560円いただきます」と言われてビックリしてしまいました。手に握っていた1000円札だけでは全然足らないではありませんか。『理由』は630pで900円、『今日も映画日和』は427pで660円。そのページ数からして、ある程度高くなるのは仕方ないにしても、たかが文庫本2冊でハードカバーの本よりも高くなるというのは、ちょっと文庫本としてはいかがなものか、という気がします。

 昔話をしても仕方ないのかも知れませんが、僕が子どもの頃に小遣いを握りしめて買いに行った文庫本はだいたい200円前後でした。岩波文庫が抜群に安かったのはもちろんですが、新潮文庫も角川文庫も文春文庫も(当時はそれくらいしか文庫も種類がありませんでした)、大抵150円とか200円とか、分厚い本でもせいぜい300円どまりで、1000円あれば4〜5冊くらいは買えたものです。

 もちろん20年以上前の物価ですから、それから値上がりしているのはわかります。でも文庫本で900円というのは、やはり廉価に良質な文学を、というそもそもの文庫本の理念からしてもおかしくはないでしょうか。

 『理由』の900円は特別だとしても、現在では文庫本が500〜600円するのは一般的です。いま手元にある文庫本の価格は次のようです。東海林さだお『親子丼の丸かじり』490円、清水義範『源内万華鏡』560円、田口ランディ『もう消費すら快楽じゃない彼女へ』600円、金子達仁『いつかどこかで』550円、鈴木光司と13人の父『父親業は愉快だ!』460円。なんだか読みやすそうな軽い本ばかり読んでいるな、と思われるのは、この際おいといて、みなこの1年以内くらいに出た本ばかりです。先ほどの『理由』『今日も映画日和』も含めた平均価格は602円です。この中には最近よくあるカラーをふんだんに使ったビジュアライズされた本はありません。それでも昔の3倍近いという感じです。

 僕が中学生当時の映画入場料は1200円くらい、アルバムレコードは2500円くらいだったと思います。それらはまだ現在でも2倍にもなっていません。3倍近い文庫本の値上がりぶりは、ちょっと驚きです。もちろん作家や出版社にも言い分はあることと思いますが、同じような複製文化の中で、文庫本だけが突出していることだけは確かです。子どもの読書量は昔より確実に減ってきている中で、せめて文庫本くらいはもっと廉価で提供できないものかと思います。


とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。


この日記をマイ日記才人に登録する