進退を賭けた貴乃花の秋場所。序盤で2敗を喫してしまいました。なんとも微妙な、全く予断を許さない状況です。強い相撲もあります。しかし、同時に脆さもあります。相撲勘が戻っていないのは確かでしょう。また怪我を怖がっているのか、もしくは実際に力が入らないのか、どこか思いっ切り相撲を取っていないようにも見えます。

　全盛期の「負けない」相撲を取っていた頃の貴乃花を思うと、今のハラハラさせる相撲ぶりの方がずっと注目してしまいます。が、もちろんそれは貴乃花の本意ではないでしょう。あれだけの強さを誇った横綱です。晩節を汚さないように、力及ばずと感じたら即座に引退して欲しいものです。

　ところで、貴乃花は相変わらずマスコミの取材に沈黙を決め込んでいるようです。若い頃ならマスコミに馴染めず不器用な態度を取るのもわからないではないですが、引退を目前にしたベテランの部類に入る、しかも角界を代表する横綱の地位にある力士なら、もう少しマスコミに対してもきちんと応対することが必要でしょうし、またその責任もあると思います。なによりそれがちゃんとした大人の礼儀でしょう。

　同様のことはイチローにも当てはまります。打率が下がって首位打者が苦しくなってきているイチローですが、ますますマスコミに対してはぞんざいになっているようです。アメリカではみなマスコミに対しては協力的だと聞きますが、それでもなお頑なな態度をとり続けるイチローにも、貴乃花同様、もっと大人になって欲しいものだと思います。