長野県知事選がスタートしました。失職した田中康夫に対抗する有力候補の長谷川敬子は女性弁護士。田中を追い落とした県議たちは表立っては彼女を応援しないとは言うものの、長谷川を統一候補のように支援するということです。

　反田中の県議連中は、田中の議会を無視した独善的政治手法を批判していますが、実際の「脱ダム宣言」を始めとする田中の施策そのものは県民の高い支持もあって否定できていません。対抗する長谷川も「脱ダムは当たり前」という立場で、あくまでも田中の「知事としての資質」を問う選挙戦を挑むようです。

　つまり長谷川陣営は完全にイメージ選挙に持ち込む目算で戦っているわけです。「独裁者」でしかも「ペログリ」な田中よりも、「女性」で「弁護士」という「ソフトな人権派」で、県議連中とも上手くやっていけそうな長谷川でいかが、という戦略です。

　しかし、こんな安易なイメージ戦略で、果たして本当に長野県民は騙されてくれるのでしょうか？長谷川の後ろには既得権益を守りたい古狸が控えていることは誰でもわかっています。彼らが選挙戦の表舞台に立たないようにしても、陰で長谷川を操っていることは見え見えなのです。長谷川は誰の目にも傀儡であり、彼女が何を新しいことをやってくれそうだというパワーは感じられません。それなのに「女性弁護士」というイメージの良さだけで勝負に出るなんて、県民の知性を信じていないバカにしたやり方だと僕には思えて仕方ありません。

　ただ、一説によると、長野県民は他からどう見られるか、ということをとても気にする県民性だそうです。地元の本音よりも東京から見て「カッコ悪い」と思われるのがイヤさに虚勢を張るところがあるそうです。田中康夫を前回勝利させたのも、この長野県民の見栄っ張り故だとか。

　となると、今回「独裁者」田中と「傀儡」長谷川のどちらを選ぶ方がより「恥ずかしくない」のかがポイントなのかも知れません。現時点では、まだ田中の方が有利かな。長谷川は、もっと「自分」を前に出していかないと、本当に単なるマネキンだと思われてしまうことでしょう。