このたび目出度く日本代表メンバーに選ばれた鹿島アントラーズの秋田豊。彼は愛知学院大出身ですから、名古屋は地元。だったらグランパスエイトに入ってくれよ、という名古屋のサポーターの気持ちはおいといても、彼のことは心情的に応援しています。

　秋田の特徴はなんと言ってもあの頑健なカラダと1対1に強いこと。フィジカルな強さというトルシエが何回も繰り返している言葉を、日本のディフェンスで一番体現しているのが秋田でしょう。

　そんな秋田に僕は一度ニアミスをしています。今年1月、名古屋の東山公園テニスセンター屋内コートでテニスをしていた時、隣のコートに夫婦と思われる男女が2人でテニスをしていました。見るからに大柄でガッチリとした体格のその男性の顔をどこかで見たことがあるな、と思っていたら、一緒にテニスをしていた仲間が「あれ鹿島の秋田じゃない？」と言うのです。あっ、と思いました。

　テニスコートでサッカー選手は結びつきません。多分正月だったので、なまったカラダをほぐす意味でテニスをしていたのでしょう。1時間半ほど2人で打ってさっさと帰っていきました。

　秋田のテニスはそれほど上手い訳ではありませんが、運動神経の良さと鍛えられた筋力は十分にわかりました。多分身体能力の高さだけで、そのへんの大学のテニスサークルでちゃらちゃらテニスしている連中よりも試合をしたら強そうでした。

　そして何より目を惹いたのはストレッチの見事さ。柔らかさと力感が溢れていて、なるほど一流のアスリートのストレッチは違うな、と目からウロコが落ちるような思いでした。

　声をかけるのは憚られたので、そっと横目で彼のテニスを見ていただけですが、何回かお互いのボールがコートに飛んでいったので、そのたびに「ごめんなさい」「ありがとう」などという挨拶だけはしました。そのプレー同様に誠実そうな人でした。ぜひワールドカップでも試合に出て欲しいものです。

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