幹事クリタのコーカイ日誌2002

 
 5月17日 ● 柳家小さんと落語界。

 小さんが亡くなりました。昨年の志ん朝は、これから円熟期という時だっただけに「惜しい」という印象でしたが、小さんの場合は「大往生」ですから、惜しいというよりも、お疲れさまという感じです。

 僕はとりたてて落語ファンではありません。子どもの頃はちょくちょく寄席中継を見ていましたし、父親が読んでいた落語の本(興津要『古典落語』だったと思います)を読み耽っていた時期があるので、中学生の頃には友達より落語通でしたが、社会人になってからはすっかりご無沙汰です。

 だからテレビを通してですが噺を聞いた落語家も、円生、志ん生、金馬から三平、円歌、円楽、談志、小金治、志ん朝、関西では米朝、仁鶴、枝雀といった大御所だけです。小さんに関して言えば、人情噺が得意というイメージと、落語家協会の会長を長年務めたものの、その間にトラブル続きで人が良いけど政治力のない人、という感じでした。

 ただ、とりたてて落語ファンではないですが、落語という世界はとても好きです。もはや古典芸能として廃れていく一方という落語界ですが、数少なくなった古い日本が良い形で残されていて郷愁を感じさせます。そして、小さんこそ、その古き良き落語界のシンボルでした。

 落語は、歌舞伎や能狂言のように国家に保護されているわけではありませんが、少しずつ朽ちてきていて、もはや「保護芸能」の一歩手前まで来ています。もっとも、その落日ぶりがまた僕を惹きつけるのかも知れません。ちょうどいつか水に沈むベニスの街に浪漫と哀愁を感じるように。

とりあえず、読むたびに(1日1回)


を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。


この日記をマイ日記才人に登録する

前日翌日最新今月