ウクライナに勝ったものの、所詮はホームだし、という声の中、欧州組が合流し、ほぼベストメンバーを組んで臨むアウェーのポーランド戦は、日本の力を客観的に測ることができる試合として以前から重要視されていました。ポーランドを仮想ベルギーと考えているとトルシエ監督も言うし、この試合で勝てるようなら本番でも相当期待できるのでは、と思って見ていたら、予想以上に完璧な勝利にかえって拍子抜けしてしまったファンが多かったのではないでしょうか。

　加茂や岡田ら解説者も言っていたように、日本の守備は見事に統率が取れていて安心して見ることができました。カウンターを防ぐために、攻めていったらゴールキックまで持ち込んで終わる、という「攻めながら守る」こともきちんとできていたし、サイドから攻撃されてもきちんとマークして中をかためていたので危なげなかったし。中盤でのプレスも効いていたし、オフサイドもきちんと取れるし。練習していた通りに全部うまくいってしまうので、今までこんなにちゃんとサッカーをやっていた日本代表なんてほとんど見たことがないと、かえって目を疑ってしまったほどです。

　個々の選手についても十分なパフォーマンスを示していました。特に中田英の切れの良さは目を引きました。1点目のシュートも見事だったし、クロスの精度も高いし、守備でもきちんと相手を抑えていました。川口も危なげなく落ち着いて守っていたし、小野も地味ながらも中田英のサポートをして、しっかり自分の役割をこなしていました。

　これだけ日本の良い面ばかりが出ると、本当に日本が強いのか、実はポーランドが弱いのではないか、とかえって心配になってしまいます。もしポーランドの実力が額面通りだとしたら、アウェー戦でこれだけ強さを示した日本はもはや欧州の中堅国を超えていることになります。ロシア、ベルギー、チュニジアなにするものぞ、残る敵は、本当の強豪国、フランス、イタリア、アルゼンチン、ブラジルなど、世界のサッカー大国だけだ、なんて。Ｗ杯本番が楽しみになってきたような、いやいや、そんな甘いものじゃないぞ、と改めて気を引き締めなければならないような複雑な気分です。

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