幹事クリタのコーカイ日誌2002

 
 3月27日 ● 「石原新税」の敗訴。

 東京都が大手銀行を対象にした外形標準課税条例が、東京地裁で「違法・無効」という判決を受けました。僕は税法について全く門外漢などで、この判決の妥当性を論ずることは難しいのですが、せっかくのアイデアが潰されるのは惜しいとは思います。

 石原都知事が「銀行は公的資金を注入されながら不良債権処理のため納税の義務を怠っている」として外形標準課税を導入しようとしたのは、国民の銀行に対する不満を見抜き、それを利用して都の財政を立て直そうとする、なかなか見事な発想だったと思います。それは確かに税の公平さを欠くと言われると、銀行員でない僕でも「そうかもな」とは思いますが、そもそも銀行に莫大な税金を投入していること自体が「公平さを欠く」と感じているわけですから、法的にはともかく感情的には石原新税に納得がいきます。

 ただ、今回の判決は、その石原都知事のやり口の鮮やかさ、達者さを逆に槍玉に挙げている気がします。裁判官の中に、庶民受けする「石原ポピュリズム」に対する反感がベースにあって、その上での「違法・無効」判決という印象を受けてしまいます。特に敢えて主税局長と都知事の過失を認定したあたりに、その感情的な部分が見え隠れしているようです。

 全国で初めての「産業廃棄物税」を作った北川三重県知事は「都は納税者に対する説明が足りなかったのではないか」と語っていますが、石原都知事の政治手法は鮮烈で印象的ですが、その分、地道な努力をせず根回し不足ということなのでしょう。都は当然控訴をするようですが、最終的に最高裁まで持ち込んで敗訴が確定したら、徴収した税金に年4%の還付加算金を付けて銀行に返還しなければなりません。今どき金利4%なんて、とんでもない高利です。税金が取れないだけではなく、都に与える損害は莫大です。それも石原都知事が自らのアイデアに溺れ、実施のための慎重さを欠いたためだとしたら、彼は単なるアイデアマンであって政治家としては失格ということなのでしょう。

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