幹事クリタのコーカイ日誌2002

 
 3月5日 ● 素直は美徳か悪徳か。

 先日話をしたある20代後半の女性が「いつも素直に自分の気持ちを語るようにしている」と胸を張って言いました。「裏表のない正直さ」こそが彼女にとって最大の美徳だと考えているようです。

 確かにその女性は気持ちがそのまま素直に言葉に出てきます。ど真ん中のストレート以外に持ち球はありません、って感じです。本当に裏はなさそうだなぁ、素直で良いよなぁ、育ちが良いんだろうな、と思いました。相手の心を読みとる超能力者の話が、よくSF小説やマンガなんかでありますが、彼女に対してはそんな能力さえ必要ないと思えるほどです。

 しかし、その素直さ、正直さが全て好ましいかと言うと、実はそうでもないところが人間関係の難しさです。飾らないストレートな言葉というのは、飾りがないだけに当たりがきついものです。上手に角を丸めておいてくれれば飲み込みやすいのですが、どうしてもゴツゴツとこちらの気持ちに触ってきて傷がつきます。

 さらに言えば、素直に話すということは、えてして自分の気持ち、自分の主張だけを一方的に伝えているということです。そこには相手の気持ちや相手の都合に対する配慮が足りません。自分の「素直な」言葉を相手がどう受け取るか、という視点がないと、単なる「ワガママ」になることがしばしばあります。

 だから、大人ははなかなか素直には話しません。それは「不躾」であり「失礼」になるからです。オブラートに包み、相手を傷つけないように、また押しつけがましくならないように言葉を飾り、何とかこちらの真意を汲んで貰おうと努力します。そこでは「素直」は悪徳ですらあるのです。

 だからと言って、何でもかんでも飾れば良いというものではもちろんありません。雪印のように嘘を固めて「粉飾」するのは素直以上に悪徳であることは論を待ちません。素直じゃないからと言って「嘘つき」になってしまっても困るのです。そう考えれば「嘘つき」よりはずっと「素直」の方がマシですから、やはり素直は美徳なのでしょうね。実際、冒頭の女性も、とても良い子ですし。

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