幹事クリタのコーカイ日誌2002

 
 2月19日 ● 日本アニメーションの金字塔。

 興行収入の日本記録を更新し続けている宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』がベルリン映画祭で金熊賞を獲得しました。ベルリン映画祭での最高賞は1963年の『武士道残酷物語』以来39年振り、アニメーション映画としては3大映画祭を通じて初めての最高賞受賞という栄誉です。

 この受賞の価値は何よりアニメが映画としてきちんと評価されたことにあります。長編アニメーション映画というのはアメリカと日本以外ではほとんど製作されていないだけに、アカデミー賞でこそ長編アニメ部門が設けられたものの、ヨーロッパではずっと「格下」扱いされてきました。それが今回ベルリンで金熊賞を獲得したというのは、いわば芥川賞をマンガが受賞したようなものです。

 この快挙を実現したのは、もちろん宮崎監督の卓越した創造力にあることは間違いありません。『風の谷のナウシカ』以来、ほとんど駄作のない平均点の高さが、着実にスタジオジブリ作品を世の中に浸透させていった大きな要因となっています。そして評価が上がるたびに、より莫大な予算をかけて前作を上回る作品を発表するという好循環を生み出しているのです。

 ただ、それだけで金熊賞に結びついたわけではないと思います。時代そのものがアニメーション映画を後押ししているのです。デジタル技術の向上によって表現技術が大幅に向上し、実写に比べても全くひけを取らない映像美、迫力、質感などを表現できるようになりました。そして、ディズニー映画と日本のアニメがヨーロッパにどんどん輸出されて、「子供向け」というアニメに対する偏見を取り除いてきました。興行的にもヒットしているので、映画界ももはやアニメーション映画を無視できなくなってきているのです。

 さらに言えば、この栄誉の元にあるのは、やはり手塚治虫という偉大なる先達がいたからこそです。マンガを飛躍的に進化させ、日本のアニメーションを生み出した手塚治虫の偉業を、改めてこの機会に噛み締めたいものです。我々の世代には、やはりナンバー1アニメは『鉄腕アトム』に他ならないですから。

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