幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 10月31日 ● 中根千枝に文化勲章。

 僕が中根千枝の『タテ社会の人間関係』を読んだのは、確か高校3年生の時だったと思います。それまで社会学とか人類学とかに触れたことがなかっただけに、この本に書かれている内容はとても新鮮でした。もっとも本当のところ、当時どこまで中身を理解していたのかは甚だ疑問ですが、とにかくこの本によって「学問」に対する目覚めというか、憧れのようなものを刺激されたことは確かです。そういう意味では著者の中根千枝は僕にとって「こころの師」と呼ぶべき存在にあたるわけです。

 中根千枝を手始めに、いろいろ社会学・人類学系の一般向け著作を読み進んだ僕は、素直に大学で社会学を専攻し、そこで学者に向かない自分を見出し、結局広告の道へ進むことになるわけで、こうして振り返れば、中根千枝は「こころの師」であるだけではなく、人生の岐路に現れた水先案内人でもあったわけです。彼女に出会わなければ、いまの僕の人生はなかったかも知れないとすら思います。

 その中根千枝が今回文化勲章を受けることになりました。社会学・人類学系の学者としては初めての受賞ということで、かつて劣等生とは言え社会学を学んだ一人としては素直に喜ぶべきことだと思っていますが、ようやく一人目というあたりに、相変わらず日本において社会学というのは、マスコミ受けはするし、学生には人気があっても、象牙の塔では未だに冷遇されているのかなとも改めて感じました。

 ところで文化功労者の小沢征爾。まだそんなところか、と驚きました。とっくに文化勲章を貰っていてもおかしくない「生きた伝説」だと思うんですけどね。お役人の中の各分野に対する序列感覚というものもよくわかりません。

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