幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 10月18日 ● カップヌードルとマクドナルド。

 先日のNHK『プロジェクトX』のテーマが日清のカップヌードルの誕生物語でした。まあこの手の商品の開発秘話と言っても、実はそれほど驚くようなことがあるわけではないのですが、ちょっと気になったのは、カップヌードルが昭和46年に銀座で売り出されたという話。

 この頃のエピソードとして、同時期にマクドナルド日本1号店も銀座にオープンしたということがあります。折しも大阪万博が終わって、日本の高度経済成長時代も成熟期を迎えようとしていた頃です。それまでの「焼け跡」から「復興」、「所得倍増」の時代を必死で働いてきて、ようやく一息ついて生活を楽しむことを日本人が考え始めたのが1970年代だと思います。

 「モーレツからビューティフルへ」という広告コピーがこの時代を象徴していたのですが、食生活での時代の変化の象徴がカップヌードルとハンバーガーでした。簡便で安価、特別美味ではないがまずくもないという味、そして何と言っても「新しくて楽しい気分」がそこには込められていました。それまでの料理とか食事に対する概念をよりライトなものへとシフトして、特に若い女性たちを「家事」から解放する一要素となったわけです。

 その流れはどんどん広がり深まり、その後のレトルト食品やコンビニ弁当へと展開していきます。お陰で今や伝統的な日本の家庭料理は崩壊寸前です。忙しいから、台所が汚れるから、買ってきた方が美味しいから、そんな理由で料理をしない主婦が増加の一途をたどり、その娘たちに至っては、料理は特殊技能に近くなってきています。今の20代は普通の料理を作ることができるだけで「料理が上手」と言われるのです。アベレージが恐ろしく下がってきています。それは何かと話題になる大学生の学力低下並み、もしくはそれ以下ではないかと思われます。

 その始まりが、このカップヌードルとマクドナルドだったのではないでしょうか。番組では非常食としてのカップヌードルの価値を高らかに称賛していました。確かにそういう側面もありますが、カップヌードルが登場した意味としては、僕は食文化の変容(あえて破壊とは言いませんが)を促したということの方が大きいと思います。もちろん、環境ホルモンやゴミ問題も。そこまで突っ込めないところが『プロジェクトX』の限界であり、所詮は「懐古的泣かせ番組」と言われるゆえんでしょう。

とりあえず、読むたびに(1日1回)


を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。


この日記をマイ日記才人に登録する

前日翌日最新今月