大型で強い台風11号が、着々と日本に近づいてきています。東海地方に最接近するのは、どうやら21日夜から22日未明ということなので、これを書いている時点より約24時間後ということになります。今はまだ静かですが、これから少しずつ風が吹き荒れてくるのでしょう。

　僕が子どもの頃は、大型の台風が来るとなると、家中、いや街中が大騒ぎでした。雨戸を閉め、風呂に水を張り、懐中電灯や携帯ラジオや非常食を用意し、テレビを見ながら今か今かと待ちかまえていたものです。

　当時、台風が来るときのドキドキ感は、子どもにとっては年に何回もない大イベントの予感でした。今のように家族で海外旅行に出かけたり、子ども向けの各種イベントがあった訳ではないので、あれほど非日常を感じる時は滅多にありませんでした。

　台風の最も重要なポイントは規模とコース。当時テレビなどの台風情報を克明にチェックしていた僕は、「伊勢湾台風並み」の規模とコースだったりすると、もうドキドキ感もマックスに跳ね上がっていました。あまり喜ぶと親に怒られるので、こっそり弟に「おい、今度の台風は凄いぞ」と自慢していました。僕が台風を自慢しても何の意味もないのですが。

　最近は建物も丈夫になり、台風くらいで停電したり断水したりすることも滅多にありません。台風が来るぞと言って、みんなで大騒ぎすることも少なくなりました。大人になった今では、もちろん被害が少なければそれに越したことはないと思っています。ただ、子どもたちが僕たちの感じたようなドキドキ感を知らないのかと思うと、ちょっとだけ寂しくノスタルジックになってしまいますね。

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