幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 8月8日 ● 『BSマンガ夜話』に江口寿史。

 今週からまたNHK衛星放送で『BSマンガ夜話』が始まりました。コアなマンガファンには大人気のこのシリーズ、1日目はマンガ史上に残る傑作『あしたのジョー』だったために、思いっきり盛り上がりましたが、2日目は一転してマイナーなギャグマンガ『できんボーイ』だったので、かなり番組の雰囲気もマイナー調に変わってしまいました。

 ただ作品よりもこの日の見どころは、あの江口寿史がゲストとして登場したことにあります。『すすめ!パイレーツ!!』で鮮烈にデビューした江口寿史は、「かわい子ぶりっこ」「白いワニが来る」などのギャグを生み出し、天才ギャグマンガ家として一気にブレイクしました。またセンスの良い絵と、やたらと可愛い女の子キャラで、その後のマンガ家に多大な影響を与え、多くのフォロワーが出現しました。

 しかし、江口の時代は長くは続きませんでした。やたらと「原稿を落とす」マンガ家として有名になり、それさえも芸にしていましたが、結局作品が描けずにイラストレーター的な存在に甘んじたまま現在に至っています。今や江口は「幻のマンガ家」化しているとさえ言えます。

 そんな江口が『BSマンガ夜話』に出演して、かつてライバルだった田村信の作品について語る、というのは、一種の解脱というか、「降りてしまった」のかな、という気さえしました。と言うのも、クリエーターと評論家はあくまでも別種の人間です。クリエーターは主観を一番大事にし、評論家はもちろん客観が大切です。クリエーターが評論家になって、客観を獲得した時には、多分一番大事な主観をどこか欠落してしまうのではないか、と僕は思っているからです。

 『BSマンガ夜話』のメインパーソナリティであるいしかわじゅんは、この番組が始まって以来、どんどん作品がつまらなくなりました。今ではすっかりマンガ家ではなくマンガ評論家の顔をしています。そういう意味でも、江口寿史がこの番組に出演したのは、もう江口が本当に終わってしまった、と思わせるに十分な事件だったと僕は思います。

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