幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 4月12日 ● 輸入制限の後をどうするか。

 中国からの安い輸入農産物のせいで、日本の農家が悲鳴を上げているという話は以前から聞いていましたが、とうとう政府は生椎茸、ネギ、畳表の三品目を輸入制限(セーフガード)することに決定しました。とりあえず200日間という暫定措置だそうですが、本当にこれはあちら立てればこちら立たずの極めて難しい問題です。

 生産者から見れば、安い中国の農産物はまさに生活を根底から脅かすものです。すでに椎茸農家はかつての半分以下の収入しか得られなくなっているとか。いくらコストダウンを図ったところで、もともと3分の1以下のライバルに勝てる訳もありません。輸入制限してもらわなければ、日本の椎茸農家は全滅です。

 消費者にしてみると、安いにこしたことはありません。中国産の農産物は今の物価下落に貢献している大きな要因のひとつです。それが国産品と同じ価格に無理矢理合わせられる(輸入制限というのは高率の関税をかけるのです)というのは決して喜ばしい話ではありません。

 日本、中国の両国政府は、あまり面倒な貿易摩擦はお互いに避けたいところです。今回の輸入制限措置に対しても中国は話し合いで解決したいと言っているように、この問題が複雑化することを避けようとする姿勢がありありです。なにせ中国にとって日本は最大の輸出相手国ですから、他製品にまで輸入制限が波及しては一大事ですし、日本にしても中国が韓国にしたように逆に工業製品の報復的輸入制限をされてもかないません。なんとかお互いにボヤで済ませたいところでしょう。

 しかし、暫定的に200日間の輸入制限をしたところで、単なる問題の先延ばしであって何事か解決するわけではありません。いや、その後に定められている最長4年間の輸入制限ですら抜本的な解決策には到底なり得ません。その間に日本の農家が中国に対して競争力をつけられるかと言えばまず絶望的だからです。せいぜい4年間の間に農家が他の仕事に転職することができるかも、というくらいでしかありません。

 ことが農業だけに、競争力のない産業は潰せばいいじゃないか、とも言えないところがこの問題の難しさです。一度離農してしまえば、まず二度と元に戻ることは考えられません。日本の農業はただでさえ極端に自給率が低くなっているのに、これ以上農家を潰すのは避けたいところです。

 と言って、かつての米のように政府が税金を使って全ての農産物を保護するわけにもいきません。たださえ財政再建が大きな課題になっているのですから、いくら自民党と言えども農協の言いなりに金を出すわけにはいかないからです。

 さらに言えば、輸入品で苦しんでいるのはこの三品目だけではありません。次はウナギだなんだと、すでに自民党の農林族議員が騒いでいるようですし、タオルなど繊維業界も同様にセーフガードを求めているようです。

 あっちもこっちも立たず、もう袋小路状態のこの問題をどう解決するのか、これひとつとっても政治の難しさは並大抵ではありません。派閥同士の利害で争っていないで、ぜひとも気骨と知恵のある政治家に舵取りを任せたいものです。自民党の総裁選は24日に決まりました。国民は行方をきっちりと見守る責務があると思います。

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