幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 3月22日 ● 歌手と代表曲。

 久しぶりに見た『速報!歌の大辞テン』は、昭和54年3月のトップ10を紹介していました。今から22年前のこの時、僕はちょうど大学受験を終えノンビリとした春を迎えていました。大学入学直前、一生に一度とも言うべき解放感に浸っている時期のことですから、思い出深い1ヶ月でもありましたし、番組で紹介される歌の数々も、その思い出に結びついて当時の気分を否応なく思い出させてくれました。

 番組の中で1位は西城秀樹『ヤングマン』、2位甲斐バンド『HERO』、3位アリス『チャンピオン』でした。それぞれに懐かしい大ヒット曲ですし、もう全部すぐに歌えてしまうのは当然なのですが、ちょっと不思議に思ったのは、これらが全てそれぞれの歌手の代表曲と言われる曲であることです。単なる偶然なのでしょうか?それとも番組側になにか意図があって、敢えてこういう組み合わせにしたのでしょうか。

 当時を知らない若い世代でも、この3曲はかなり知名度が高いと思います。それは世間的にその歌手の代表曲として繰り返しテレビなどで紹介されるからです。逆に言えば、これ以外の歌は当時を知らない人には全然知られていない可能性もあり得ます。

 こうした歌手と代表曲の結びつけはかなり多く見受けられます。沢田研二は『TOKIO』で郷ひろみは『二億四千万の瞳』で野口五郎は『私鉄沿線』、山口百恵は『いい日旅立ち』、森昌子は『せんせい』、桜田淳子は『私の青い鳥』、チューリップは『心の旅』、かぐや姫は『神田川』、さだまさしは『関白宣言』、オフコースは『さよなら』といった具合です。

 本当にそれで良いのか、という疑問・議論は40代前後なら多分あると思います。ジュリーは『TOKIO』のギラギラのギミックに満ちたある種ガキっぽい部分も確かに彼の一面ですが、それだけではなく『時の過ぎゆくままに』のような退廃的でけだるい大人っぽさも魅力でした。

 他の歌手にもそれぞれの個性を表している多くのヒット曲があります。アリスは『チャンピオン』と誰が決めたのか、どうして『遠くで汽笛を聞きながら』ではダメなのか、山口百恵は谷村新司の『いい日旅立ち』やさだまさしの『秋桜』よりも、やはり阿木&宇崎作品の『プレイバックpart2』が妥当なのかも知れません。

 代表曲を決めて、いつもセットでその歌手と紹介するというのは、その歌手の記号化です。かぐや姫は『神田川』のグループ、としてしまうと、南こうせつの暗さは伝わっても、伊勢正三の繊細さ、山田パンダの温かさが見えなくなってしまいます。記号化するとパッと特徴を掴めるから便利ではありますが、切り捨てられてしまう部分の多さが気になることもあります。

 サザンオールスターズの代表曲が『いとしのエリー』でも『TSUNAMI』でも印象は一緒ですが、『勝手にシンドバッド』や『エロティカセブン』だったら全然別の印象になってしまいます。どちらにするかは大きな差がありますが、それを現在懐メロ番組などを作っているテレビ局やラジオ局のディレクターは多くの歌手に対して深く考えずにやっているような気がします。なんだかなぁ、というくらいしか視聴者の立場としては言えないんですけどね。どう考えたって、それほどこだわるような重大なことでもないですし。

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