幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 2月3日 ● パイロットと管制官。

 日航機ニアミス事故の原因について、いろいろとマスコミも報道していますが、その中に「パイロットが事故の原因を押しつけられることに機長組合が不信感を抱いている」という話題がありました。事故原因を究明していくと、結局最後は操縦桿を握っていたパイロットに責任を負わせるのが一番わかりやすくて簡単、ということでしょう。

 でも航空機というのは何重にも事故回避のためのセーフティが施されているわけで、それでも事故が起きるということは、単純な操縦ミスではなく、複合的な要因が背後にあるだろうことは素人でも見当がつきます。パイロットだけ、管制官だけ、整備だけ、機体そのものだけが悪い、ということはないのでしょう。今回にしても管制官の指示が槍玉に挙がっているようですが、単純にそれだけに事故原因を押しつけてしまったら、パイロットに押しつけているのと同じことになってしまいます。

 同じようなことは他の職業にもあると思います。野球でピッチャーが打たれた時、一見打たれたピッチャーが悪いようですが、実は背後で指示を出しているキャッチャーのリードが間違っていたのかも知れません。パイロットと管制官の関係と同じです。

 我々広告代理店でも競合プレゼンテーションに負けた時に、制作スタッフの企画が悪いのか、それとも方向を誤ってミスリードした営業が悪いのか、という話になることがしばしばあります。最終的に案を作ったのは制作ですから、制作=パイロット=ピッチャーは責任を押しつけられやすい職種ということになるのでしょう。

 もっとも営業=管制官=キャッチャーにしてみれば「オレの指示通りにやらずになに言ってやがる」「うまくいった時は美味しいところを持っていくくせに」などと思っていることも間違いありません。ま、お互い人間ですから、相手よりも自分の方が苦労している、損している、と思うのも仕方ないところでしょう。

 しかし、野球でピッチャーが打たれようが、我々が競合プレゼンに負けようが、人は死なないから良いのですが(時々絶望して自殺する人がいないとは限りませんが)、航空機の事故はそうはいきません。今回だって一瞬にして600人以上の犠牲者が出ていたかもしれないのですから、責任を誰かに押しつけるのではなく、徹底的に事故原因の究明をして再発防止に役立ててほしいものです。

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