幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 1月28日 ● 才能は名古屋から出ていく?

 イチローがシアトルで始動した、というスポーツニュースを「おおっ、イチロー、がんばっとるな」と多くの名古屋人は喜びと期待に満ちた眼差しで見ていることでしょう。愛工大名電出身、豊山町に自宅がある「おらがイチロー」に対する名古屋人の親近感はかなり強いものがあります。

 しかしイチローは中日の選手ではありませんでした。名古屋を出て神戸で育ち大きくなった選手です。そしてイチローがもし卒業と同時に中日に入っていたら、ここまでの大選手に育ったかどうか、とても疑問です。あの独特の振り子打法や強い自我が、名古屋という土地で頭をぶつけずに伸び伸びと成長し得たのだろうか、とつい思ってしまうからです。

 名古屋出身のプロ野球の名選手はずいぶんたくさんいます。野口二郎、金田正一、杉浦忠、山内一弘らオールドファンには懐かしい名前から、山倉和博、杉浦亨、平野謙、槇原寛己、工藤公康、イチローと、球史に名を残すような選手のほとんどが地元中日には入っていません。逆に中日の歴代の名選手で名古屋出身の選手もほとんどいません。

 話は野球に限りません。昔から名古屋の人間は、名古屋から外に出ていって大きくなると言われています。「信長、秀吉、家康を三英傑と呼んでいるが、みんな名古屋から出ていって名古屋に戻って来なかったではないか」と言う悪口があるくらいです。三英傑だけではなく多くの名古屋出身の有名人は、名古屋以外の土地でその実績を挙げてきました。音楽家しかり、小説家しかり、美術家しかり、建築家しかり。名古屋は人づくり、才能づくりに向いていない土地柄なのでしょうか?

 よく言われることは、堅実な名古屋の風土は突出することを嫌うから、才能豊かな個性が潰される、という説。また名古屋は人を甘やかすから、ぬるま湯に浸かってしまい成長しない、とも。確かにずっと名古屋に住んでいると、かなり思い当たる節がある話です。特にクリエーティブな才能が育ちにくい土地柄だと思います。一発当ててやろう、というやまっ気は嫌われる風潮があるからです。

 反面「ものづくり」には適した土地のようです。コツコツと地道に成果を積み重ねていく人には好意的でバックアップを惜しみません。「からくり仕掛け」の頃からの技術的な蓄積も大きいし、東西の交通の要で流通の便も良いので、しっかりとした技術を持てばそれを大きく成長させることができる余地がある地域です。トヨタを始め日本を代表するような技術を持ったメーカーが東海地方にたくさんあるのがその証左です。

 それで良いではないか、と思います。組織は地元で育てる、でも才能ある個人はイチローのように東京と言わず世界に向かって出ていけば良いのです。なにも名古屋にいて花を開かせなければならないものでもありません。そして、帰りたくなった時に名古屋に帰ってくれば良いのです。「ぬるま湯」結構。世界を相手に戦って疲れた時に、故郷くらい暖かく迎えてくれなければ、やってられないじゃないですか。名古屋人が名古屋は住みやすいと口々に言うわけです。以上、かなり地元贔屓のお話でした。

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