幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 1月15日 ● 恥ずかしいぞ日本柔道。

 体重無差別で争われる男子柔道の第9回嘉納治五郎杯国際大会。しかし、日本柔道界最強の篠原信一も井上康生も不出場となり、注目はシドニー五輪81kg級で金メダルをとった滝本誠が、重量級の選手にどこまで対抗できるか、くらいしかありませんでした。しかし、その滝本もあっさり準々決勝で敗退。優勝したのは31才のベテラン下出善紀でした。

 時代を担う若手が伸び悩んでいることを示しただけの成果の薄い大会だったわけですが、それ以上に恥ずべきことがありました。一昨年の世界選手権100kg級3位のアレクサンドル・ミハイリン(ロシア)に対するあからさまな誤審です。それも意図的ではないか、とすら思える程度の悪いものでした。

 篠原も井上も出ないだけに、ミハイリンは今大会の優勝候補の一人だと考えられていました。実際準決勝まで勝ち上がってきて、ミハイリンは優勝した下出と対戦したわけですが、この試合で「参った」していないのに「参った」を取られて送り襟締めで一本負けとされてしまったのです。なんとしても不可解な判定でした。

 もう少し詳細に展開を述べれば、まずミハイリンの足技で下出が背中から落ちましたが「技有り」どまり(追記:下出は「一本」だと思ったそうです。すでにここで本来なら決着がついていたはず)。次に下出が出足払いをかけました。これが蹴りのようになってミハイリンが足を痛めたらしく「待った」を要求。しかし主審はそれを見逃します。崩れ落ちかけていたミハイリンに対し、下出は立ったまま後ろから送り襟締めに。ミハイリンは「待った」を要求して両手を広げるのですが、これを主審は「参った」と解釈したのか、そのまま下出の一本勝ちを宣告したのです。テレビで解説していた岡田氏も「参ったしていない」と言っていた通り、あれは明かな誤審です。しかし、ミハイリンは今回ロシアからコーチも連れずに参加しているそうで、抗議もできずにそのまま退場させられてしまいました。

 さらに言えば、ミハイリンはこの前の試合、準々決勝でも危うく誤審で負けになるところだったのです。ミハイリンの対戦相手は若手重量級のホープ棟田康幸。この試合、先にミハイリンが「技有り」を取りましたが、その後に棟田の投げに体勢を崩され尻から落ちました。背中は全く畳についていないので「有効」か「効果」という感じだったのですが、主審はなんと「技有り」を宣告。副審は認めなかったのですが、判定はそのまま「技有り」になりポイントはタイ。その後お互いにポイントはなく時間切れで判定に。ここでも明らかにミハイリン優勢だったにも関わらず、主審は棟田に旗を上げました。幸い良心ある(?)副審2人がミハイリンに旗を上げたので、辛うじてミハイリンは勝ち上がることができましたが、前述した通り、次の準決勝で無理矢理負けにされてしまいました。

 この2戦の判定はミハイリンを負けさせてやろうという意思が働いていたとしか思えません。それが誰の意志なのか、主審の個人的な思いなのか、どこからか指示が出ていたのか、日本柔道界の総意なのか判然としませんが、ミハイリンにしてみれば不審感の拭えない大会だったと思います。また見ている我々にとっても、シドニー五輪での篠原の「世紀の大誤審」を思い出させるイヤなシーンでした。

 篠原の時にニュージーランドのあの主審に激しい抗議を送って怯えさせた熱心なファンは、当然今度はミハイリンのために抗議の声を上げてくれることでしょう。でなければ、日本人は自分たちに有利な判定だったらインチキでも構わないと考えている卑怯な民族ということになってしまいます。もっとも、まず反省すべきはファンではなく全日本柔道連盟や講道館そのものなんですけどね。ま、少なくともこれで篠原のことは言えないですね。

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