幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 1月14日 ● 夢の(?)チベット鉄道。

 13日の朝日新聞夕刊によると中国チベット自治区に鉄道を敷設する計画が大詰めを迎えているとか。記事によると「チベット鉄道計画は1949年の建国以来の懸案」だそうで、「江沢民政権が新世紀の課題として西部開発をぶち上げ」たので「再び脚光を浴び始めた」とか。

 ルート案はいくつかあるものの、現実的に早期完成できる「青海ルート」と、沿線の発展度が高い「雲南ルート」が有力な候補として上がっているそう。どちらを選ぶかは難しいところですが、ゲームの『A列車で行こう』シリーズの経験からすると、とりあえずは「青海ルート」を作って、お金を貯めたら「雲南ルート」とつなげてループ化するのがベストなのではないか、と思います。ゲームと一緒にするな、と思うかも知れませんが、現実にもそういう順番で建設されそうな状況らしいですから、ゲームで得た経験もバカになりません。

 いずれにしてもクルマか飛行機しかなかったチベットへ、鉄道で行けるようになれば随分と便利になることでしょう。朝日新聞の記事の論調は、政府は「政情安定狙い」、地元は「観光業の発展期待」ということで、ともに諸手を挙げて大賛成、ということになっていますが、でも果たして本当にこれは“夢のチベット鉄道”なんでしょうか?朝日新聞の中国政府贔屓は今に始まったことではないので、ついつい中国絡みの記事は眉唾で読んでしまう癖がついています。

 もちろん記事にあるように、鉄道が開通すれば観光客は増えるかも知れません。国民所得が上がっている中国では、かつてない観光ブームらしいので、手軽にチベットに行けるようになれば、その神秘性・希少性ゆえに人気観光地になることも十分考えられます。もちろん地元も観光業で潤います。経済効果で政情が安定してくれれば、政府は満足でしょう。

 でも本当にチベットはそれで良いのでしょうか?僕はチベット問題に詳しいわけでもない、全くの門外漢なわけですが、それにしても記事の視点が中国政府に寄り過ぎていて、チベットからの声が聞こえてきません。テレビなどの映像で知るチベットは清浄で静かな国です。中国が勝手に「自治区」にしているだけで、本当は占領されてしまった土地です。そこに鉄道を引いて観光地化・俗化していくことが、本当にチベットにとって幸せなことなのでしょうか?単なる中国による占領政策でしかないような気がするのですが、それを“夢のチベット鉄道”とノー天気に喜んでいて良いのでしょうか。

 経済効果による政情安定というのは、要はエサをやるから大人しくしておれ、ということです。「地元の声」を代表しているかのようにインタビューに答えているのは、中国政府からチベット自治区を抑えに行っている政府幹部の意見でしかありません。ダライ・ラマの意見でも聞いてこい、と思います。

 本当は「チベット解放・独立」こそ、いまジャーナリズムが持つべき視点ではないのか、少なくとも人権を標榜する朝日新聞なら拠って立つべきところではないのか、と思います。環境問題も含めて、鉄道を敷設することは良いことばかりではないはずだと思いますが、全く批判的視点が欠けた記事についつい突っ込みをいれたくなりました。

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