幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 1月9日 ● 『HERO』のキャスティング。

 フジテレビ系列月曜夜9時、いわゆる月9と言われるドラマ枠は、フジテレビ躍進の象徴でした。数々のヒットドラマを生み出し、ドラマ隆盛の元とも言える枠です。ところが、最近ずっと視聴率は低迷気味で、神話に陰りが見えていました。それに連れて、フジテレビ全体の視聴率まで日本テレビに抜かれてしまったのです。

 前のクールの『やまとなでしこ』は、そんな月9において久々のヒットドラマでした。日テレに猛反攻をかけたいフジテレビとしては、その勢いに乗って今回の『HERO』にも相当気合いが入っています。スタートの昨晩は慎吾ママのスペシャルドラマとスマスマの生放送でサンドイッチにして、7時から11時半までぶっ通しでSMAP枠。その上、祝日で視聴率が高い「いいとも」のゲストに、主演の木村拓哉と松たか子を出演させて宣伝もさせました。編成の意気込みを感じます。

 第1回を見た限りでは、なかなか面白い出来だと思います。演出も鈴木雅之ですから、彼の独特のコミカルな間やカメラアングルが、検察庁という暗くお堅い舞台を華やかに楽しく見せています。主題歌に宇多田ヒカルをもってきたあたりも、プロデューサーの「外せないぞ」というチカラの入り具合を感じます。

 そんなパーフェクトの布陣の中で、ちょっと疑問に思ったのは、脇役の層の薄さというか、華のなさでした。大塚寧々、阿部寛の2人はまだしも、勝村政信、小日向文世、八嶋智人、角野卓造、児玉清。実力はありますが、いかにも地味です。ドラマ好きならともかく、一般には顔と名前が一致しないメンバーが大半です。

 なぜか。実は、前のクールで日テレが似たような職業ものドラマを作っています。ニュース番組に関わる報道マンを描いた『ストレートニュース』。キャストがやたらと豪華なドラマで、三上博史、原田知世、大塚寧々(あ、ここでも出ていた)、浅野ゆう子、米倉涼子、森本レオ、竹中直人、金子賢、吹越満、柴田理恵、田口浩正などなど、主役・準主役クラスがずらりと顔を揃えていました。ところが、オールスターキャストゆえに見せ場をそれぞれに作ってやらなければならなくなり、ドラマとしては焦点が合わずに失敗に終わってしまったのです(もちろん、それだけが原因ではないでしょうが)。

 『HERO』はそのタイトル通り、木村拓哉がヒーローのドラマです。第1回も見事に格好良くヒーローの登場を見せてくれました。しかし、それは逆に言うと、主役以外はみんなヒーローに助けられる凡人でなければならないのです。格好いい見せ場なんかありません。木村以外はひたすら引き立て役なのです。

 そう考えると、この地味だけど実力のあるキャスティングというのは良くその意図が理解できます。なまじ知名度とプライドだけ高くて、気を遣わなくてはならない俳優を持ってくるよりは、ずっとドラマの完成度が高まることでしょう。こけおどしのキャスティングではないだけに、これからの展開も期待できそうだと思います。

とりあえず、読むたびに(1日1回)


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