幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 12月4日 ● 「勝ち組」主婦。

 娘のピアノの発表会がありました。去年、音楽教室の生徒全員で揃っての発表会は経験していますが、ひとりで演奏するのは今回が初めて。本来ならかなり緊張するところなのでしょうが、幸い30人も入ればいっぱいという小さなホールで、ステージに上がるわけでもないし、いつもの遊び仲間と一緒という気楽さもあったせいか、笑顔で堂々と演奏することができました。まあ出来はともかく、無事に終わってやれやれ、というところです。

 それにしても僕は育ちが悪いせいか、どうもこの手のハイソ(死語か?)な雰囲気というのが苦手です。我が家は基本的に貧乏なので、服も粗末なもので済ませましたが、よそのお子さんは、派手なドレスで着飾って、いかにも良家の子女という感じだし、それを目を細めて見ている両親や祖父母というのがまたお金持ち然としています。ああ、こんな人たちと仲間だと思われたくない、というのが僕の偽らざる感想です。

 そもそも5才や6才の子どものピアノなんて、動物に芸を仕込んでいるのと同じです。サーカスの熊やライオンの曲芸とレベル的には大差ありません。それを大袈裟に褒めそやす雰囲気も気持ち悪いし、そんな程度のことなのに、子どものためならいくらでもお金と時間は使うわよ、という姿勢がまたイヤなのです。

 音楽がなによりも大好きな家庭で、他のことはともかく音楽だけは、というのならわかります。でも単なる教養として、とか、何でも可能性があるかも知れないからやらせてみる、という曖昧な姿勢で、その実、消費生活しか送っていないお気楽主婦の暇つぶしに過ぎない子どものお稽古事というのが大嫌いなのです。

 子どもの教育という大義名分を振りかざし、お稽古事の送り迎えに「忙しい」を連発する彼女たちは、なんら意味のあることをしているようには見えません。やっていることは単なる子どもの運転手(しかもクルマは外車)であり、そのためにダンナの稼いだ金を湯水のごとく使い、お稽古事の待ち時間に同じお母さん同士でお茶を飲みながら世間話に興じているだけです。挙げ句に「遅くなったから」と言って、料理も作らずに外食したりお総菜を買ってきて済ませているのです。

 もっともこれを「けしからん」と思うか「羨ましい」と思うかは紙一重。お金持ちのボンボンをつかまえて娘のピアノのお稽古の合間に、同じ立場の主婦同士で優雅に午後の紅茶を飲む。ある意味、貴族よりも貴族らしい生活です。毎日むかつく上司や先輩に嫌味を言われながらつまらない仕事をしてストレスを溜めているOLにしてみれば、夢のような生活かも知れません。

 いわば彼女たちは「勝ち組」主婦です。「やまとなでしこ」の桜子の目指すところ。「良いダンナ獲得競争」の成功者なのです。もちろん全員が全員そうじゃない、というのもわかっていますけどね。本当に優雅な人は一部だけで、結構無理して付き合っている人もいるみたいですから。それはそれでまた可哀想というか、本当にやりたくてやってんの、と思いますけど。ただ賢い自覚的な主婦は確実に一線引いているようです。ともあれ、そういう人たちを身近に観察できただけでもピアノの発表会に行った甲斐があった、ということで。だって発表会って見に行くだけで金まで取られるんですから。なんか元とらないとね。  

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