ラグビー日本代表の平尾誠二監督が辞任しました。直接の引き金になったのは、先日のフランス・アイルランド遠征の時のアイルランド代表とのテストマッチで9-78と惨敗したことにあるようですが、1997年から4年間、代表チームを率いながら結局成果が上がらなかったということでしょう。辞任と言っても、実質は協会による解任のようなものです。
ご存知のように平尾は日本ラグビー界の星です。高校時代から全国にその名を知られ、同志社大、神戸製鋼で数々の栄冠を掴んで引退。その後、日本ラグビーの救世主、切り札として代表監督に起用されました。
成績も一時期はかなり上がりました。1998年のW杯予選を勝ち抜き代表の座を見事に獲得しましたし、去年のパシフィックリムでも好結果を残しました。熱い期待を背負った去年のW杯こそ残念な結果に終わりましたが、早速次の2002年のW杯予選を睨んで今年は若手中心に強化に励んでいたはずです。
確かに今年のパシフィックリムでは結果は出ませんでしたが、それはそもそもの強化方針が結果を出すことにはなく、W杯予選のために若手を登用して経験を積ませることに主眼があったのですから仕方ないことでした。ところがそれを容認しておきながら、今になってテストマッチで惨敗したとして協会が責任を問うのはおかしいと思います。
しかも先日の遠征も十分なメンバーが揃わず苦しい陣容でした。それは社会人の各チームが代表の試合に非協力的だからです。平尾は「切り札」とか言われていても、実際には周りのサポートも薄く、一人で戦っていたようなものでした。協会は平尾に全部ゲタを預けて何ら体制を整えずに傍観していただけです。それではいくら平尾でも思うように成果は上がらないでしょう。
かつては本当に弱かったサッカーに比べたら、日本のラグビーはもともとアジアでは強国でした。W杯にも第1回から参加しています。ところがサッカーのようにJリーグを発足させたり外国人監督を招聘したりというような抜本的な改革を行わず、旧態依然の体制のまま口先だけで「強化」を唱えているようでは、いつまでたっても本当にラグビー先進国には勝てるようにならないでしょう。
ラグビー界の宝である平尾に傷をつけたまま放り出した協会こそ、もっとも責任を問われるべきだと思います。サッカー協会もひどいといつも思うけど、ラグビー協会に比べればいくらかマシだね、ほんと。
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