幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 10月3日 ● 人が悪いとテニスは強い。

 日曜日のウィルソンカップ、僕の出たミックスダブルスの試合は完勝でした。それも6-1というスコアだけの話ではなく、試合を計算通りの展開で運ぶことができたという意味での完勝だったのです。

 ミックスダブルスという競技の特殊性は、男女が全く対等な立場で一緒にプレーすることにあります。いくら女性だからと言っても、一切優遇措置はありません。当然、同じようなレベルなら女性がウィークポイントになりますが、遊びでやっているゲームでは、男性が女性に思いっきりサーブを打ったりすると「鬼」と言われ、女性めがけてボディアタックなんかしてぶつけてしまったら、村八分同然の扱いを受けるものです。

 しかし真剣勝負の大会などでは、そんな悠長なことも言ってられないので、アタックはかけないまでも、基本的には女性狙いでゲームを運ぶことになります。そして、この巧拙が大きく試合結果を左右するのです。少々の技術の差など簡単に吹っ飛ぶほど、女性狙いのうまいチームは勝ち上がることができます。

 僕たちペアは、9月初めのひるがの高原での大会の時に、2回戦で若くてやたらと上手い体育会系ペアに当たってしまいました。向こうの実力を男性10、女性5とすると、こちらは僕が6、僕のペアが2というくらいの実力差がありました。合計すると15対8ですから、普通にやっては全く勝負になりません。

 実際ゲームが始まって最初の5ゲームはなす術なく圧倒されてしまい、一気に0-5。そこで、もう仕方ないので開き直って全部女性狙いで打っていこうと決めました。向こうの男性を除いて考えれば、実力差も5対8でこちらの方が優っているんですからね。

 これが思った以上に功を奏して、その直後のゲームを初めてキープ。さらに次のゲームも拮抗したままずっとデュースの繰り返し。最後は力で押し切られて取られてしまいましたが、あれだけ実力差があるペアに2ゲームだけとは言え互角に戦えたことは、大きな自信になるとともに、勝つためのヒントをもらった気がしました。

 今回のウィルソンカップでのミックスダブルスは、そのヒントを実際の試合で試すテストの場でもありました。ひるがのと違い、相手ペアとの実力差はほとんどありません。僕たちの作戦は、もちろん徹底した女性狙い。前に立っている時はもちろん、後ろに下がっていたって、女性にボールを集めて前後左右に走り回らせてミスを誘います。男性がそれに苛立って無理にカバーに入り陣形を崩してくれれば、空いたオープンコートにボールを送り込む。「それはあなたのボールでしょ」と女性が思い「そっちが下手だから無理してるんじゃないか」と男性が怒れば、もう勝ったも同然です。

 実際、この計算通りに試合を運ぶことができ完勝。試合後の相手の様子を窺ったら、女性は完全に落ち込んでへこんでしまっていたし、男性は納得いかない、という表情です。対してこちらは「うまくいった」とニンマリほくそ笑んでいるわけで、何とも意地の悪い悪人面だったのではないかと思います。性格が悪く人の裏をかくのが大好きな意地悪人間でなければ、なかなかテニス(特にダブルス)は強くなれないようです。僕もテニスを始めて20年余、この性格の悪さはテニスのせいだったんだな。

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