集中豪雨のせいで書くタイミングを逃してしまいましたが、杉山愛とジュリー・アラール・デュキジスのペアが、見事に全米オープン制覇を果たしました。杉山にとっては、グランドスラム大会で昨年の全米混合ダブルスに続く2度目の優勝、そして今季ダブルスランキング世界1位に躍進するという日本のテニス界にとってもエポックメーキングな快挙です。

　伊達公子、沢松奈生子にひきずられるように世界の一流プレーヤーに成長していった杉山愛。先輩たちが引退後は、日本の女子テニス界を一人で引っ張っています。シングルスランキングはずっと20〜30位前後で安定していますが、ダブルスがここまで強くなるとは、ちょっと意外でした。

　デュキジスとは今年からのペアですが、大会に出続けることで、どんどん息が合ってきているのがわかります。シングルスプレーヤーとしては決して2人ともビッグネームではありませんが、ダブルスプレーヤーとしてはたった9ヶ月で世界トップクラスのペアにと成長しました。

　男子にはウッディーズやブパシ・パエス組などダブルスのスペシャリストがいますが、女子にはダブルスだけで目立ったペアはいません。リサ・レイモンド＆レニー・スタッブス組が最も目立つ杉山たちのライバルですが、他はウィンブルドンを制したウィリアムズ姉妹や、全仏の勝者ピアース＆ヒンギス組など、みんなシングルスにも力を入れている選手ばかりだけに、短時間で上位にいくことができたのでしょう。

　杉山組の試合を見ていると、とにかく攻撃的です。シングルスプレーヤーとしては、とりたてて特徴のない杉山にしてみれば、とにかくアグレッシブさを失ってしまっては武器がありません。できることなら、このアグレッシブさをシングルスにも生かして欲しいと思います。以前に比べればかなり精神面で成長してきたことは確かですが、まだ格下選手にコロッとやられてしまうことがあります。守りに入らないで、どんどん攻めていって欲しいところです。

　ところでこれで杉山のオリンピックでの活躍が楽しみになってきました。テニス界ではオリンピックよりもグランドスラムの方がずっと上なんですが、世間ではオリンピックでメダルを取ることの方が認知率が上がります。テニス人気がずっと下降線を描いているだけに、杉山にシドニーで頑張ってもらって、もう一度テニスに脚光が当たるようになって欲しいですね。

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