ブランドと言っても、女性が大好きなエルメスとかシャネルとかの話ではありません。もちろんそれらのブランドも含みますが、もっと広義な意味でのブランドの話です。
現在の世界のマーケティングは、ブランドをどう消費者に意識づけていくか、ということを一生懸命やっています。要は、そのブランドのファンになってもらって、個々の商品はどうあれ、そのブランドのものならOK、という雰囲気を作り上げようとしているわけです。
一番の成功例はナイキです。かつては単なるシューズメーカーだったナイキが、バスケット、ゴルフ、陸上、サッカー、テニスなどの有名アスリートたちと契約し、彼らをコマーシャルで使うことで、ブランドイメージを上げていきました。ナイキはその過程で、個々の商品について語ったりはしていません。ひたすら「JUST DO IT」というスローガンと、あのマークをメッセージし続けてきただけです。
同様にペプシもベネトンもバドワイザーも、商品ではなく、自分たちのブランドそれ自体のイメージを訴え続けてきました。そこにあるのは「ナイキのある生活」だったり「バドのある暮らし」だったりするだけで、それ以上でもそれ以下でもありません。
ブランド力を上げることが、結局ビジネスとしての成功につながるというこうした理論と実践が最近では日本にも輸入されて、気の利いた企業はブランドマーケティングに取り組んでいます。ユニクロなんて、それが上手くいった典型例です。
どうしてこういうことが起きるのかと言えば、ひとつには商品自体が成熟してしまい、商品での差別化が図りにくくなったために、ブランドの持つイメージで消費者の心を掴もうとしているからです。ベンツのCクラスとBMWの3シリーズには、クルマという機能ではさほど大きな差異はありませんが、それぞれのブランドが持つイメージではきちんと差別化されています。
また、商品が多様化し過ぎて、消費者には選べないし、ゆっくり選ぶ気力も時間もないから、ブランドで選ばせようとしていることもあります。怠惰な消費者には、ひとつブランドを決めてしまえば、後はそのブランドの新商品を買い続けるだけで良いのですから、見映えも良くて楽です。
しかし、これは消費者にとって逆に危険な意味も含んでいます。ブランドを過信し過ぎると、自分の目で商品を選ぶことができなくなります。与えられたものを無批判に使っているのは楽ですが、商品を選ぶ目を濁らせてしまいます。必ずしもブランド品だから安心とは言えないことは、今回の雪印の件でもハッキリしました。ブランドだから変なことはしていないはず、なんて保証はどこにもないのです。
今後ますます世の中にはブランド広告が増えていくことでしょうし、それに乗っかって楽しむのも悪いことではないと思います。ただ、どこかにクールで批判的な目を持っていないと、そのブランドに身ぐるみはがされるだけかも知れないことを、肝に銘じておいた方が良いと思います。
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