全仏オープンもいよいよ男女シングルスの決勝。アガシもヒンギスも負けて、本命とは言えなかった選手がファイナルに勝ち上がってきました。もっとも男子のノーマンもクエルテンも、女子のピアースもマルティネスも決して「意外な伏兵」ではありません。グランドスラムを制するだけの力は十分に持っている実力派です。それだけ、上位の力の差と言っても、調子ひとつで変わる紙一重の差だということでしょう。

　ところで毎晩テレビでトップ選手のプレーぶりを見ていると、テニスなんて実に簡単そうに思えてきます。サービスもボレーもバックハンドもスマッシュも、かるーくこなす選手たちと自分が同化してくるのでしょう。すぐにでもコートで華麗なプレーを披露したくなってきます。

　それで深夜までテレビでイメージを頭の中にインプットしておいて、実際に翌日コートに立って「クエルテンのバックハンドだぁ！」と思ってボールを叩いてみると、なんとなく上手く打てているような気がします。飛んでいくボールは、実際には天と地ほどの大差があるのですが、少なくともいつもの自分の打っているボールよりは、確かにマシなようです。

　これが我々にとってのイメージトレーニングということになります。上手にプレーするには、まずどう打つのかというイメージを頭の中に描くことが不可欠です。その上で、イメージ通りに自分の体をコントロールできるかどうか、というのは運動神経の問題。いわば家を建てる時に、まず設計図を引くことがイメージすること、実際にノコギリや金槌を使って家を建てる作業が体を動かすことなのです。

　いくら持ち前の運動神経があっても、設計図なしではどう動かして良いのかわかりません。どんなに優秀な大工さんでも、図面なしでは家は建てられないのです。もちろん、設計図通りに体をコントロールすることも大事なのですが、まずは正確な設計図を引くことから始めることが、我々のような時間の限られらた社会人プレーヤーには大事だと思います。行き当たりバッタリでは、無駄が多すぎます。テニスに限った話じゃないですけどね。

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