シドニー五輪の競泳日本代表から漏れて話題になった日本女子水泳界のエース千葉すず。なにせ五輪標準記録を破って日本選手権で優勝したにも関わらず落選したわけですから、当然水連はその理由を説明すべきところなのに一切口を閉ざしたまま。業を煮やした千葉は、国際機関「スポーツ仲裁裁判所」（スイス）に提訴することにしたそうです。

　千葉の落選理由など水連が公表しなくても誰だって推測がつきます。要は水連、特に古橋会長が千葉のことを嫌いなのです。外国人コーチに教わっていることも気に入らないし、ことあるごとに体制におもねることなく正直な発言をすることも面白くないし、とにかくありとあらゆることが癪に触るらしいそうですから、無理矢理にでも千葉を代表から外したかったのでしょう。

　こういうことは、数字がモノを言う実力社会のスポーツ界では比較的珍しいのでしょうが、会社勤めをしている人なら「ああ良くあることだよな」と思われることでしょう。僕の昔の上司は言っていました。「いいかクリタさん、人事ちゅうもんは昔も今も好き嫌いで決まるんだわ。それだけはよう覚えときゃあよ」と。

　まあそれにしたって、ここまであからさまに好き嫌いだけで強引な人事をするのは、中小企業のオーナー社長でもなかなかできないものです。しかも理由も一切発表しないんですから。せめてそれなりの理屈くらいはつけておけばいいのに、それさえしない（できない？）水連の体質は相当に病んでいると言えましょう。

　千葉が提訴する「スポーツ仲裁裁判所」に、どの程度の力があるのかわかりませんが、こうしてマスコミで大きな話題になるだけでも十分意味があります。理不尽な人事に負けず、とことん頑張って楯突いて、リストラの恐怖に怯えるせつないサラリーマンたちに少しでも夢を見させて欲しいものです。

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