まあそれにしてもアナクロ過ぎる発言ですよね。無神論者で天皇制廃止論者の僕としては、あまりにも感覚が離れすぎていて突っ込む気にもなりません。一体全体、どうして森喜朗なんかが総理大臣になってしまったのか、火事場泥棒的政権交代劇自体が怪しさ満点なのに、ここにきて石原慎太郎よりおバカな放言。もうほとほとイヤになります。

　石原都知事の「三国人」発言には、それなりに彼の計算が見えます。ある種の覚悟があっての発言だけに、一定の支持と反発をちゃんと見込んでいるだろうな、という安定感が（放言に安定感などと言うのも妙ですが）あります。

　ところが森首相の「日本は天皇を中心とした神の国」発言には、日頃の彼の信条が、その場限りのリップサービスというカタチで露呈してしまった、という、ある意味いかにも放言らしい放言です。石原都知事のような覚悟の問題提起ではなく、ただただ自らの立場を悪くするだけで、そこに彼の策略も計算も意図も感じられません。

　「天皇中心の神の国」なんて、右翼以外から理解を得られるはずもありません。社民党や共産党が反発するのは当たり前として、民主党や自由党もさすがについてこられないし、当然神道を擁護すれば連立パートナーの公明党も批判します。恐らく各宗教団体をバックにしている自民党内でも「困ったことを言ってくれた」という声が強いことでしょう。

　もちろん韓国をはじめアジア諸国での反発も相当なものになりますし、欧米各国だって「妙な奴」という印象を持つことでしょう。就任早々にこんなカタチでミソをつけるとは、さすがに中身がないことでは小渕以上という評判の森喜朗らしいとは思います。

　小渕の弔い合戦という旗を立てて、総選挙を有利に運ぼうと考えている矢先の首相の大チョンボ。沖縄サミットにこんなセンスの首相で大丈夫なの、ということになると、自民党としても森は選挙管理内閣という位置づけにせざるを得なくなるでしょう。もっとも政権の正統性も怪しい内閣だけに、それで十分だと思いますけどね。

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