幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 5月7日 ● 人質になった時の対処法。

 九州の高速バスジャック事件が起きた時から疑問に感じていたことがありました。走るバスの窓から飛び降りて逃げた男性が何人もいたということ。僕は聞いた瞬間から思いました。「え?一人が逃げたら、残された乗客はどうなるの?」と。普通に考えたら、怒った犯人が見せしめに人質を傷つけることは十分にあり得る話です。なのに、自分だけが逃げ出すなんて、しかも女性を残して男性が逃げ出すなんて、そんな話があっていいのかと思いました。

 案の定、その後の報道では逃げた乗客が出るたびに、犯人は「裏切りやがった」と怒って、残った女性の乗客に切りつけたそうです。殺された女性は、元教師だっただけに、何とか犯人をなだめようとして、かえって深く刺されてしまったらしいとのこと。近くでそれを見ていた女性客たちが怯えるのは無理もありません。逃げた人質の代わりに手近な人質を傷つける。もちろん非道な行いですが、どうせ人質を取るような犯人はろくなもんじゃないことはわかりきっています。問題は、人質に取られた側が、こういう時にどう対処すべきかということです。

 そもそも犯人はバスの中で男性客を後ろに、女性客を前にと分けて座らせました。そして6才の幼女(しかも彼女は守ってくれる保護者もいない一人旅だったのですよ)を盾にして脅していたのです。確かに後ろに座らされて犯人から遠い男性客は安全ですし逃げ出しやすいでしょう。しかし、だからと言って自分たちが逃げ出したら、残された女性客や幼女はどうなるのか、少しでも考えたのでしょうか?自分だけが助かれば、他の人質はどうでも良いのでしょうか?

 本来、人質が考えるべきことは、極力冷静になって、お互いに協力して、犯人を刺激しないように、犠牲を出さないように、事件の解決に向けて努力することでしょう。特に男性は女性や子どもを守ることを考えるべきではないでしょうか。いや、「べきではないか」という筋論ではなく、人間の情としても、こういう時は女性や子どもを守ろうとするのではないか、と思うのです。

 凶器を持ち興奮している犯人は怖いと思います。そんな人間を目の前にして冷静に対処しろ、と言うのは簡単ですが、実際には難しいことでしょう。映画のように勇気ある人質となって、犯人に向かっていったら、あっさり殺されてしまうかも知れません。だから、みんなで飛びかかって犯人を押さえ込めとは言いません。ただ、最低限人質としてやっていいことと悪いことがあると僕は思います。それは犯人を必要以上に刺激して犠牲者を増やさないことです。自分だけが助かれば、他の人質など知ったことじゃない、というのは、余りにも「人質道」から外れた恥ずかしい行為ではないでしょうか?

 せっかくのゴールデンウィークに、人質になって大変な思いをして、なおかつ逃げ出したなんて最低だ、と言われてしまったら、多分「俺がそんなに悪いのか?」と怒る被害者もいることでしょう。でも逃げ出した男性たちのために、殺されずに済んだ人が殺されてしまったのも事実なのです。死んだら全ての責任は棚上げされることが多い日本社会。同様に、人質になった人たちも、それだけで全てを免責されてしまっているかも知れませんが、僕はそれとこれとは別問題だと思います。今後、似たような状況に誰が陥るかわかりません。その時に余計な犠牲者を出さないためにも「人質のHow To」を、この事件を教訓として、全国民に学ばせた方が良いのではないでしょうか?




とりあえず、読むたびに(1日1回)


を押してください。 日記猿人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。


この日記をマイ日記猿人に登録してみる

前日翌日最新今月