幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 3月22日 ● IRが流行る広告業界。

 広告業界には常に流行り言葉があります。つい去年までは「ソリューション」というのがそれで、猫も杓子も「ソリューション」。なんのことやら意味も良くわからず、とにかく「○○○・ソリューション」という言葉を作っておけばそれらしく聞こえるというのが去年の流行でした。ただし、今年はすでにちょっと手垢がついてきたかな、という感じがしますから、言葉の腐り方の早さは広告業界ならではです。

 で、代わって、というわけでもないのですが(ジャンルが違うので)、今年になってからの流行語は「IR」です。IRと言っても、イリジウムのことでもイラン航空のことでもありません。Invester Relations=投資家向け広報活動のことです。つまり、自社の株価をつり上げるために、企業がこんなにうちの会社は儲かっていますよ、どうぞ我が社の株を買ってくださいね、ということを訴えるのがIRというわけです。

 なんでこんなものが流行るかと言えば、もちろんアメリカの真似です。アメリカ経済がもう10年来バブルしているのは周知の事実ですが、このお陰で随分多くの企業経営者がボロ儲けしました。特にIT(情報技術のことです。なんでもアルファベットで略すというのも考えものですね)関連の企業というのは、ビル・ゲイツを筆頭に株価の急上昇のせいで、社長だけではなく社員みんな億万長者というところが少なくありません。で、それを見習ってどこの企業も自社の株価を上げるのに必死になっているわけです。

 本来株価というのは適正な利潤を上げていれば、それにつれて上がっていくというもののはずでした。しかし、最近ではそんな悠長なことは言っていられないとばかりに、各企業が手を変え品を変え投資家に株を買ってもらおうと躍起になっています。特にこれは経営陣が個人的に儲かる話でもありますから、力の入れようも従来の広報活動とは気合いが違います。当然IRが盛んになればなるほど、広告業界も潤いますから「今はとにかくIRですよ(昔はここにCIですよ、とか違う言葉が入っていました)」なんて営業が盛んに喋っているわけです。

 各企業のトップも大乗り気ですから、IR広告にはやたらと社長や会長が登場します。もちろん投資家にとっても経営トップが自ら戦略を語ってくれれば投資の判断材料にしやすいわけですから、これは正解と言えば正解なのですが、ただ広告として見た場合には色気もなにもあったもんじゃありません。シミのついた爺さんが出てきて我が社の21世紀のビジョンは、なんて偉そうに語るなんて、面白いわけがないからです。

 とは言え、これからしばらくは株式投資の時代です。すでに株式市況はバブル期前夜に近いところまで盛り上がってきているようですから、もしかしたらごく近い未来に日本にも再びあの狂乱の時代がやってくるかもわかりません。前回のバブル期にはまだ若くて株には手を出していなかった層も、今は30代になって手ぐすねひいています。今度は誰もババを掴みたくないと思っていますから、よりシビアなマネーゲームが繰り広げられることでしょう。ああ、いやですね。下品で。

 
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