幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 3月17日 ● 流行色に世相を読む無意味さ。

 この春の流行色はピンク。コギャルを中心に若い女の子たちはこぞってピンクを身につけて街を闊歩しています。流行の明るいビビッドなピンクは、確かに春に相応しいし若い女の子には良く似合います。僕個人の好みとしては、もう少し濃い、ちょっと怪しい感じのピンクが良いのですが、なにせ僕のためにみんなピンクを着ているわけではないので、なんら文句を言えた義理ではありません。

 こうしてピンクが流行ると、早速したり顔で解説をする世相評論家のオジサンが現れます。「景気が底を打ってようやく上向いてきた日本経済を反映して、明るい未来への希望を感じさせるピンクが流行っているのではないか」とか「Y2K問題も収束し、去年までの世紀末感に覆われた暗い雰囲気が、ようやく新しい世紀に向かう希望へと転換したことをバラ色で表現している」とかね。

 もちろんこんなオヤジチックな戯言、ピンクを着ている当の本人たちは知ったことではありませんが、結構流行に疎いオジサンたちは騙されて感心したりするから困りものです。もっとも我々広告屋も時々こういう無茶なこじつけも結構使う手口ではありますから、あまり悪く言うと、天に唾するようなものですが。

 そもそも流行色というのは、流行る1年も前にイタリアの生地メーカーが決めるそうです。来年の流行色はピンクってことでひとつよろしく、とイタリアで言うと、それを受けてパリでピンクを使った新作が発表されます。で、その取材をしてきた日本のファッション雑誌が大々的に「今年の春はピンクで決まり」と書き立て、店頭にはピンクの春物がずらっと並びます。それを目ざとい女の子が早速買ってきて、寒さを我慢して着ていると、それにつられるように普通のOLや女子大生が着はじめます。そうすると、オジサンの中では比較的観察力のある連中が「今年はピンクが流行っているんだってね」なんて得意気に吹聴し、ようやく普通のオジサンが流行色に気づきます。もちろん、その頃には最初に着始めた子たちは脱いでいる、というのが流行色のサイクルでしょう。

 と言うことで、オジサンが気づいた時には、確かにもう街はピンク一色になるわけですが、それが日本の景気とは関係ないことは、イタリアの生地メーカーが決めていることからも自明です。背景も調べずになんでも流行ると世相に結びつけるのは、無意味で悪い癖だともう少しオジサンたちには反省して欲しいですね。なにせ講釈を聞かされる方が鬱陶しいからさ。

 
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