幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 3月6日 ● インパクトのない「インパク」。

 5日の新聞朝刊を開いたら「あれ、ローソンの新しい広告かな」と思いました。「KONISIKIさんこんにちは」というタイトルのメール画面(何となくマック風)、右下にはKONISIKIのいつもの顔写真。デザインのテイストがいかにもローソン風なのです。そして左上の写真は堺屋太一経企庁長官ではないですか。ローソンの広告に出るとは、なかなか思い切ったことを、まあダイエーの経営も相変わらず危ないらしいし、長官自ら個人消費の拡大に向けて一肌脱ごうってことかしらん、と思ってよくよく読むと、どうも話が違います。なにせ紙面の右上には「政府広報」の文字があります。あれ、主役はKONISIKIではなくて堺屋長官の方だったのですね。

 広告のテーマは「インパク」というものらしいのですが、なんだか良くわかりません。インターネット博覧会?2000年12月31日スタート?なるほど、なんとなく読めてきました。通産官僚時代に大阪万博を手がけたことをずっと自慢している堺屋長官らしい発想です。要はミレニアムを記念して大好きな博覧会をやりたいけど、愛知万博ももたつく昨今、いくら景気づけと言っても今さら20世紀型の博覧会はやれないしお金も時間もない。そこでバーチャルな博覧会なら簡単安価にできて、しかも来るべきネット社会に相応しいし、自分の先見性のアピールもできる、ということでしょう。

 「知価社会」をキーワードに語りまくる堺屋長官ならではの企画です。役人や政治家の社会ではいかにも受けが良さそうな感じもします。「おおっ、さすが堺屋くん」なんて小渕首相にもお褒めの言葉を貰ったのでしょうね。もっとも彼は誰でもホメそうだけどさ。しかし、現実にネット社会の中で生きている我々には、なんとなくこの「インパク」ってズレを感じる企画のような気がしてなりません。

 そもそも博覧会って言ったって、現状のインターネットそのものがすでに博覧会的です。ちょっとキーワードで検索してみればわかりますが、あらゆるジャンルについて多くのサイトが存在しています。そこでは自慢のコレクションを並べていたり、無用とも思えるような蘊蓄を傾けていたり、最先端技術を駆使していたり、双方向のコミュニケーションを売り物にしていたり。物販もありますし、もちろんタダでモノが貰えたり得したりすることもあります。

 堺屋長官は、インパクで見たい作りたいアイデアを広く募集していますが、そんなアイデアがあれば、とっくに自分でやってしまっているのがインターネット社会です。今さらお上のお仕着せの枠内で誰かに作ってもらうことに何の意味があるというのでしょう?それに例えアイデアを採用されても適当に政府がお上好みに改変してしまうそうですし、提案者には記念品をくれるだけだとか。うーん、全然おいしくないし、面白くなさそうじゃん。

 ところでこの「インパク」、やっぱり博覧会なら入場者数の代わりにアクセス数100万人目、とかで記念品をくれたりするのかな?当然会場までの道路を造らなければならないから、回線が一気に太く速くなるんでしょうね。で、跡地はジオシティに対抗するような住宅になっていたりしてね。無料でサイトがおけるの。国の事業だから安心、って言って、それまでインターネットとは無縁だったような人までみんなサイトを作ったら、それなりにネット社会へのアクセルを踏んだとして、インパクにも意義はあったってな評価になるんだろうなぁ。

 

 
とりあえず、読むたびに(1日1回)


を押してください。 日記猿人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。


この日記をマイ日記猿人に登録してみる

前日翌日最新今月