幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 2月24日 ● 芦浜原発中止。

 三重県の北川知事が中部電力の芦浜原発建設に協力できない声明を発表した翌日、中部電力は即座に計画中止を発表しました。「打てば響く」という印象を受けるほど、中電は「待ってました」とばかりに「悲願」と言われた36年間の苦労をうっちゃってしまいました。

 北川知事はしたたかな知事です。石原都知事のような派手なパフォーマンスをするわけではありませんが、就任当時から次々と県政の改革を進めている実力派であり、全国的にも注目されている数少ない知事の一人です。首都機能移転を推進している岐阜県の梶原知事にかなり対抗心を燃やしているとも伝えられています。

 今回の北川知事の立場は微妙でした。知事が原発の建設を直接決められる立場にあるわけではありませんが、用地取得には自治体首長の協力は不可欠であり、知事が反対を表明すれば、現実的に原発建設は不可能に近くなります。原発建設政策は国是です。北川知事は県政の改革は進めていますが、敢えて国の政策に反することをして、石原知事のように国と対決姿勢を示したいというわけではありませんから、相当に慎重に検討した結果の今回の表明でしょう。県民の意識や世論、中電や国の出方など、かなりの調査と根回しをした上でのことだと思います。慎重を期しただけあって、その後の反応からすると、この賭けは今のところ知事の評価を上げて成功したと言うべきでしょう。

 対する中電ですが、こちらはうまく知事に乗っかって、膠着状態にあった芦浜原発問題をクリアしたと見るべきでしょう。36年間も進まない課題をいつまでも抱えているわけにもいかず、とは言え今さら自分から退くこともできなかった中電にしてみれば、知事の表明は渡りに船。さっさと芦浜を諦めて別の用地候補を当たりたいというのが本音でしょう。なにせ電力自由化時代が到来しようとしています。体質強化を図りたい中電としては、芦浜という足枷をここで外すことができのは、今後に向かって大いにプラスだと考えられます。

 現地の反対派住民はともかく、賛成派住民はかなり苦しい立場に追い込まれます。地元の住人同士で長年にわたって対立してまで原発建設に賛成してきたのは、ひとえに原発と引き替えの地域振興策に賭けてのことです。南島町のような不便な場所に大メーカーの工場を誘致できるわけでもなく、来てくれるとしたら原発くらい、という苦しい選択だったのに、その原発さえやって来ないとなれば、この先どうやって地域は生き延びていけばいいのか。建設中止は決して福音ばかりではないのです。

 そもそも自民党一党独裁時代の野党のように「自衛隊反対・原発反対」と唱えていれば済む良い時代ではありません。原発を建設せずにどうやってエネルギー問題をクリアするのか、未だに具体的解決策は全然見えてきていないのです。太陽発電や地熱発電、風力発電などは随分昔から言われている割には、未だに主力足り得ず、石炭・石油による火力発電は21世紀のエコ時代には完全に時代遅れ。もちろんダムを建設する水力発電も環境破壊のそしりを免れません。

 パソコンゲーム初期の大ヒット作「シムシティ」をプレイした人なら誰でもわかるでしょう。あのゲームの中では公害をまき散らす火力発電所よりも、クリーンな原発の方がはるかに効率的です。メルトダウンの危険性を承知しながらも、市長になったプレーヤーは、みな原発をボコボコ建設したものです。

 あのゲームでは電気がいかない地域は発展する可能性がありません。今騒がれているネットワークだって、電気がなければただの箱です。原発建設を中止させたからと言って、本当は何も解決していないんだってことを、特に電力の大消費地に住む都会人は改めて良く考えてみるべきでしょうね。そうそう、原発と言えばあの広瀬隆。彼は一体どうしているんでしょう?どこかの番組でコメントを求められたりしているのでしょうか?もちろん彼が話したこところで何も解決にはならないのは同じなんですけどね。

 
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